杖は何歳から?高齢者が杖を嫌がる理由と勧め方|転ばぬ先の杖

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高齢の母に、家族が折りたたみの杖を手渡している手元(杖は何歳からの記事のアイキャッチ)

膝が弱い80代の母は、散歩の途中でとても疲れて、座り込むことがあるそうです。

そろそろ杖を、と思って話してみました。
返ってきたのは「まだ歩けるから」のひと言でした。

妻の父(80代)も同じです。
玄関で転んで肋骨を6本折り、入院したあとに杖をすすめました。

それでも答えは「まだ大丈夫」でした。

杖は何歳から使うものなのか。
嫌がる親に、どう切り出せばいいのか。

この記事では、県のリハビリテーションセンターや杖メーカーの資料をもとに、使い始めの目安と勧め方、長さの合わせ方をまとめました。

📌 先に結論(30秒まとめ)

  • 杖を使い始める年齢の決まりはありません。「つまずく」「立っているとふらつく」などのサインで考えます
  • 一本杖は自分で歩ける人が、より安定して歩くための道具。杖がないと歩けない人は、別の歩行補助具を専門職に相談します
  • 嫌がる理由は「年寄り扱いされたくない」「まだ歩ける」など。「転ばないため」より「散歩が楽になる」「疲れたら座れる」で勧める
  • 長さは靴を履いて立ち、杖先をつま先の前へ約15cm・外側へ約15cmに置いて肘が軽く曲がる高さ。シナノは身長÷2+2〜3cmを目安にしています
  • 一本杖は介護保険のレンタル・購入の対象外。レンタルの対象は松葉づえ・多点杖など

石川県リハビリテーションセンターの資料では、杖などが必要と思われる状態として「ちょっとしたものにつまずく」「立っているときにふらつく」などを挙げています。

どれも、年齢ではなく「いまの歩き方」の話です。

ジャズ
ジャズ

父に杖をすすめたら、年寄り扱いするなって怒られちゃった。

ロック
ロック

うちの義父も「まだ大丈夫」だったよ。

玄関で転んで骨を折ったあとでも、そう言うんだよね。

杖は何歳から?杖をつく年齢より「使い始めのサイン」で決める

住宅街の歩道を、一人でゆっくり歩く高齢者の後ろ姿

杖はいつから使うものか。
実は、使い始める年齢に決まりはありません。

杖メーカーのシナノも、自社の記事で「いつからでもお使いいただいて良い」と書いています。

こんな様子が出てきたら、杖を考えるサイン

石川県リハビリテーションセンターの資料が挙げる状態から、一部を紹介します。

  • 椅子から立ち上がるとき、時間がかかる
  • 立っているときにふらつく
  • 片足立ちができない
  • ちょっとしたものにつまずく
  • 原因はわからないが、年に何度も転倒する

出典:石川県リハビリテーションセンター「杖・歩行器」(PDF)

原因がわからないまま何度も転ぶ場合は、杖を考える前に、かかりつけ医に相談しましょう。

同じ資料では、一本杖が向いている人の一つとして「歩くことはできるが、ちょっとしたものにつまづいたり、転倒するという不安感を持っている人」を挙げています。

一本杖が向かない人もいる

一本杖は、体重をかけて歩くのにはあまり向いていません。
石川県の資料にも、そう書かれています。

シナノの取扱説明書でも、杖がないと歩けない人や、体重の一部を杖で支えないと歩けない人は使えない、とされています。

ただし、医師などの指導のもとで使う場合は別、とも書かれています。

この場合は、多点杖や歩行器などを、ケアマネジャーさんやリハビリの専門職に相談して選びます。

私の母と義母の場合

私の母は膝が弱く、少し歩くと座りたがります。
それでも、杖なしで自分で歩けています。

一本杖が向く「歩けるけれど不安がある人」に、ちょうど当てはまる段階です。

母は一度、玄関の縁がめくれたマットにつま先をひっかけて転んだことがあります。
「年に何度も」ではありませんが、見過ごせないサインだと感じています。

妻の母(義母・80代)は、山歩きのときだけ杖を使っていました。
ふだんの外出では使っていませんでした。

義母のように、場面を限って使うのも一つの形です。

高齢者が杖を嫌がる理由|「恥ずかしい」「まだ大丈夫」の本音

リビングの椅子に座る高齢の男性と、使われずに壁ぎわに置かれた杖

親が杖を嫌がるのには、それなりの理由があります。

私の家族の言葉と、一般的によく聞く声を並べてみます。

  • まだ歩ける(母の「まだ歩けるから」)
  • まだ大丈夫(義父の「まだ大丈夫」)
  • 杖は恥ずかしい。年寄りに見られたくない
  • 荷物が増える。片手がふさがるのが面倒

どれも「自分はまだ杖の世話にならない」という気持ちの表れです。

義父は転んで入院したあとでも、「まだ大丈夫」と言いました。
転んだ経験があっても、それだけで杖を受け入れるとは限りません。

だからこそ、正面から「危ないから使って」と言うより、別の入り口を探すほうが近道です。

杖を嫌がる高齢者への勧め方|おしゃれな杖・座れる杖から入る

テーブルに並べた色や柄の違う折りたたみ杖を、親子で指さして選んでいる手元
ジャズ
ジャズ

じゃあ、何て言えば使ってくれるんだろう。

ロック
ロック

母には「散歩が楽になるよ」って言うつもり。

疲れたらその場で座れる杖もあるんだよ。

「転ばないため」より「楽になる」で伝える

「転ぶと危ないから」と言われると、年寄り扱いされた気持ちになりがちです。

「散歩が楽になるよ」「疲れたら座れるよ」のように、できることが増える言い方のほうが受け入れやすくなります。

それでも断られたら、次の3つ

  • 第三者から言ってもらう。かかりつけ医やリハビリの専門職の言葉は、家族より届きやすいことがあります
  • お店で試しに持ってみる。買う前提にせず、介護用品店などで手に取るだけでも印象が変わります
  • 使う場面を限って始める。旅行や長い散歩の日だけ、など

義母が山歩きのときだけ杖を使っていたのも、この「場面を限る」形です。
毎日でなくていい、と伝えると気が楽になります。

おしゃれな杖を一緒に選ぶ

杖は、色や柄で選べる時代です。
折りたたみ式なら、使わないときはかばんにしまえます。

「恥ずかしい」と感じている親には、服に合わせて選べる杖を一緒に見るのがおすすめです。

選ぶときは、見た目と安全の両方を見ます。

  • 色・柄:服に合わせやすいか(シナノのグランドカイノスにはヘリンボーン柄などがあります)
  • 折りたたみ式か:使わないときにしまえるか
  • 重さ:毎日持ち歩けるか
  • 長さ:本人の身長に合わせられるか(次の章)

母には「座れる杖」から勧めてみるつもり

母は「まだ歩けるから」と杖を断りました。

でも、散歩の途中で疲れて座ることがあるのは本人も分かっています。
そこで、疲れたら椅子になる杖を検討しています。

ただの「杖」ではなく、「疲れたら椅子にもなる杖」として勧めれば、話を聞いてもらえるかもしれません。

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座れる杖の選び方や、ほかの商品との比べ方は、こちらにまとめました。

▶ ステッキチェアおすすめ|高齢者に合う座れる杖の選び方と口コミ

杖の長さの決め方|身長に合う一本杖の選び方

玄関で靴を履いて杖を持つ高齢者と、持ち手の高さを横から確かめる家族

杖は、長さが合っていないと使いにくくなります。

シナノは、長すぎると肩や腕に負担がかかりやすく、短すぎると前かがみの姿勢になりやすいと説明しています。

杖の長さの合わせ方(公的な資料の方法)

テクノエイド協会は、杖の長さの合わせ方を3つ紹介しています。

  • 腕をまっすぐ下ろしたときの、手首の高さ
  • 床から、太ももの付け根の骨(大転子)までの長さ
  • 足の小指の外側15cmに杖をついたとき、肘が約30度曲がる長さ

石川県の資料は、つま先から前へ約15cm、外側へ約15cmに杖先を置き、肘が軽く曲がる高さとしています。

外で使う杖は、靴を履いた状態で合わせるのがポイントです。

出典:テクノエイド協会「福祉用具シリーズ Vol.12 歩行補助用具の活用」(PDF)/テクノエイド協会(杖の選び方)/石川県リハビリテーションセンター(PDF)

家で測るときの手順

  1. 身長から、下の目安で長さの見当をつける
  2. 長さを変えられる杖なら、その長さに合わせる
  3. ふだん外で履く靴を履いて、まっすぐ立ってもらう
  4. 杖先をつま先の前へ約15cm・外側へ約15cmに置き、肘が軽く曲がるかを家族が横から見る

身長からの目安は「身長÷2+2〜3cm」

杖メーカーのシナノは、身長÷2+2〜3cmを長さの目安にしています。

この式で計算すると、次のようになります(筆者の計算)。

身長杖の長さの目安
145cm約74.5〜75.5cm
150cm約77〜78cm
155cm約79.5〜80.5cm
160cm約82〜83cm
165cm約84.5〜85.5cm
170cm約87〜88cm

※シナノの目安(身長÷2+2〜3cm)で計算。実際の長さは上の手順で確かめてください。

ただし、これはメーカーの目安です。
実際には、上の方法で本人に合わせて確かめましょう。

杖はどちらの手で持つ?

杖は、痛い脚や弱い脚と反対側の手で持つのが基本です。
石川県の資料もテクノエイド協会も、そう説明しています。

ただし、医師やリハビリの専門職から別の持ち方を指示されている場合は、そちらに従ってください。

先ゴムは、すり減ったら交換

杖の先のゴムは消耗品です。
シナノの取扱説明書は、すり減ったり破れたりしたら使うのをやめて、すぐ交換するよう書いています。

交換の時期は一律ではなく、溝の減り具合で判断します。

長さを変えられる折りたたみ杖

シナノの「グランドカイノス」は、使う長さを79〜89cmの間で2cmずつ変えられる折りたたみ杖です。

公式の製品ページでは、対応身長は約153〜173cm、日本製です。
重さは約300g(ヘリンボーン柄・黒)で、柄や仕様によって少し違います。

身長153cmより小柄な方は、短いサイズの製品をメーカーの公式ページで確かめてください。

シナノには、対応身長146〜166cmの「グランドカイノスDONNA」などもあります。

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杖は介護保険でレンタルできる?|一本杖は自費・多点杖は対象

食卓で歩行補助具のパンフレットを見ながら相談する手元と、そばに置かれた多点杖

介護保険で借りられる「歩行補助つえ」は、厚生労働省の告示で種類が決まっています。

対象は、松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖です。

介護保険で買える杖も告示で決まっていて、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖です。

一本杖(T字杖)はどちらの一覧にも入っていないため、自費で買うものと考えておきましょう。

多点杖などを介護保険で使うには、要介護・要支援の認定を受けていることが前提です。
自己負担は、所得に応じて1〜3割です。

2024年4月からは、多点杖など一部の用具で、借りるか買うかを選べるようになりました。

まだ認定を受けていない親なら、まずは住んでいる地域の地域包括支援センターに相談しましょう。

多点杖は、杖の先が何本かに分かれた杖です。
一本杖では不安な場合は、ケアマネジャーさんに相談してみてください。

杖を持たない家の中こそ転びやすい|家の中の転倒対策

滑り止めと手すりがついた住宅の室内階段

義父も母も、杖は使っていません。
そして2人とも、転んだのは家の中でした。

義父は玄関で転びました。
母も、玄関の縁がめくれたマットにつま先をひっかけて転んだことがあります。

玄関の工夫は、こちらの記事にくわしくまとめています。

▶ 高齢者の玄関の工夫7つ|80代の義父が転倒・骨折して分かった玄関の転倒防止

高齢者のスリッパは転倒しにくいものに

家の中のはき物も、見直したいところです。
かかとまで包むタイプの転倒予防シューズもあります。

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階段の滑り止めは高齢者の家から

階段の滑り止めは、貼って付けるタイプなら工事がいりません。
暗いところで光る蓄光タイプもあります(下の商品は木製の室内階段用)。

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手すりや段差は、プロに見てもらう

手すりは、親の動き方や身長を見て位置を決めるのが安全です。
見積もりだけなら無料で頼めます。

要介護・要支援の認定があれば、手すりの取り付けに介護保険の住宅改修が使える場合があります。
工事の前に申請が必要なので、先にケアマネジャーさんに相談しましょう。

🔨 段差・手すり工事は無料見積もりから

「どこに手すりを付けるべき?」「段差解消はどうすれば?」と悩んだら、プロに無料で見積もりを取ってもらえます。複数社の比較で、価格も提案内容も納得できます。

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ひとりで暮らす親には見守りも

転んだとき、すぐに気づける仕組みがあると安心です。

🏠 一人暮らしの親には「見守りサービス」という選択肢

転倒の不安がある親が一人暮らしの場合、緊急ボタンやセンサーで異常を知らせると警備員が駆けつける見守りサービスがあります(センサーでの見守りはプランやオプションによります)。資料請求は無料です。

▶ セコム・ホームセキュリティ ▶ ALSOKの見守りサービス(HOME ALSOK みまもりサポート)

もし転んでしまったら、救急車を呼ぶ目安をこちらにまとめています。

▶ 高齢者が転倒して起き上がれない時、救急車を呼ぶ基準|歩けなくなったら家族がやること

🚨 転倒後「もう一人にできない」と感じたら

転倒をきっかけに「もう一人で暮らすのは難しい」と感じたら、訪問介護の選択肢を検討してください。イチロウは介護保険外で24時間対応の訪問介護サービスです(担当ヘルパーの予定により対応できない場合もあります)。家族の負担を減らす助けになります(対応地域は公式サイトでご確認ください)。

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杖のよくある質問

敬老の日に杖をプレゼントしても大丈夫?

杖を嫌がる親には、プレゼントが逆効果になることもあります。

まずは本人と一緒に選ぶか、「散歩が楽になる」「疲れたら座れる」ものから勧めるのがおすすめです。

身長が分からないときは、長さを変えられるタイプを選び、届いてから上の手順で合わせます。
「今度一緒に選びに行こう」という約束を贈る形もあります。

敬老の日だけでなく、誕生日などの贈り物にも同じ考え方が使えます。

高齢者におすすめの杖は?

自分で歩ける人の外出には、長さを変えられる折りたたみの一本杖が使いやすいです。

疲れて座りたくなる人には、座れる杖(ステッキチェア)もあります。
選び方は、この記事の杖の長さの章と、座れる杖の記事をご覧ください。

転倒を防ぐ運動は、どうすればいい?

運動の内容は、体の状態によって合う・合わないがあります。
かかりつけ医や、地域包括支援センターに相談するのが確実です。

まとめ|転ばぬ先の杖は「使い始めの一歩」を家族で

  • 杖を使い始める年齢の決まりはない。つまずく・ふらつくなどのサインで考える
  • 一本杖は自分で歩ける人のための道具。杖がないと歩けないなら専門職に相談
  • 嫌がる親には「散歩が楽になる」「疲れたら座れる」で勧める
  • 長さは靴を履いて、肘が軽く曲がる高さに合わせる

転ばぬ先の杖、とはよく言ったものです。
でも、その一歩を踏み出すのは本人です。

私も母に、まずは「疲れたら座れる杖」から話してみるつもりです。

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この記事を書いた人:ロック

 高齢の親を含め、身近に高齢者が多い環境で生活しています。
 若い頃は東証プライム上場企業で経理職に従事し、生命保険の資格[上級生命保険設計士(現シニア・ライフ・コンサルタント)]も取得しました。
 その後、数十年にわたり雑貨の卸売業に携わり、品質・安全性・使いやすさの視点で商品を見てきました。
別事業として古物営業法に基づく古物商許可(公安委員会の許可)も保有し、中古品の売買・流通にも従事しています。
 2005年からは個人で株式投資を続けており、リーマンショックも何とか乗り切りました。いまは国内の高配当株と投資信託が中心で、新NISAも活用しています。
 家族の実体験と公的・医療情報を参考にしながら、高齢者の暮らしに役立つ情報を発信しています。
 ※医療行為の代替を目的とした情報ではありません。

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