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妻が、そろそろ車を買い替えたいと言い出しました。
今の車は、妻がふだん乗っている車です。
ただ、車検証の所有者の欄は、義父の名前のままです。
妻は、今の車を下取りに出せばいいと考えていました。
ところが話を進めるうちに、贈与税の問題に気づきました。
第1話では、実家じまいの相談の席で、義父の口座の話が出たことを書きました。
第2話は、そのあと妻の手元で起きている、車の話です。
📌 先に結論(30秒まとめ)
- 妻は義父の保険から毎年110万円を受け取っていて、贈与税のかからない年110万円の枠は、ほぼ埋まっています
- その状態で義父名義の車を下取りに出し、新しい車の代金に充てると、その分は義父から妻への贈与になると考えられます
- うちは給付金があるので、下取りがたとえば20万円なら、贈与税は約2万円(仮の計算です)。ほかに贈与がない家なら、車の値打ちが110万円以下で税金も申告もありません
- 私の提案は「車は義父が売り、代金は義父が受け取る」。妻は何ももらわないので、贈与にはならないはずです
- 義父の分だけ「相続時精算課税」に切り替える道もありますが、一度選ぶと戻せません
- うちはまだ保留中です。決める前に、今の車がいくらで売れるかを知っておくのが先だと考えています
国税庁の説明では、贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)にもらった財産を合計し、そこから110万円を差し引いて計算します。
親から子へ、車1台を渡すだけでも、この合計に入ります。

親の名義のまま車に乗ってる人、けっこういるよね。

うちもそう。
買い替えようとしたら、税金の話になったんだ。
妻は毎年、義父の保険から110万円を受け取っている|生前贈与の110万円の枠は、ほぼ埋まっていた

実家を手放したあと、義父母は子や孫へお金を渡す方法として、保険を選びました。
毎年決まった時期に、受け取る人の口座へ自動でお金が振り込まれる仕組みです。
受け取る一人ひとりが年110万円を超えないよう、上限が決めてあります。
妻もその一人で、受け取りは今年で2年目になります。
保険料を払ったのは義父です。
毎年、義父が生きていることを条件に払われる給付金なので、妻は受け取るたびに義父から贈与を受けたとみなされます。
この形の保険について、東京国税局も2015年の文書回答でそう示しています。
贈与税の110万円は、もらう人ごとに、1年間の合計で見ます。
くれた人が何人いても、枠は一人に一つです。
つまり妻の110万円の枠は、毎年この保険の給付金(生存給付金)で、ほぼ埋まっています。
ここに何かが加われば、その分には贈与税がかかります。
📖 義父母が保険を選んだいきさつと、税金の基本はこちら
親名義の車を下取りに出すと、贈与税の対象に|買い替えでも名義変更でも、理由は同じ

今の車は、乗っているのは妻でも、持ち主は義父です。
年式は古いのですが、あまり乗っていないので、走った距離は短く、傷もありません。
買い替えの話を進めるうちに、妻が気づきました。
この車を下取りに出して、その分を新しい車の代金に充てる。
それは、義父の車の値打ちを、妻の新しい車の支払いに使うことです。
義父から妻へ、お金を渡したのと変わりません。
110万円の枠は給付金で埋まっているので、下取りの分は、贈与税の対象になると考えるのが自然です。
名義を妻に変えるだけでも、理由は同じです。
車そのものを、義父から妻にあげることになるからです。
念のため書くと、ほかに何ももらっていない年なら、車の値打ちが110万円以下であれば贈与税はかからず、申告もいりません(国税庁)。
うちの場合は、その110万円が給付金で先に埋まっている。
そこが問題なのです。
給付金が始まってからは、名義を変えるだけでも贈与税がかかる。
だから妻は、名義を変えずにきました。
税金がかかるなら、どうするか。
妻はいま、そこで迷っています。
中古車の贈与税はいくら?評価額しだいで「払って済む額」のこともある

では、実際にいくらかかるのか。
下取りに出す場合は、新しい車の代金に充てた下取りの金額が、妻がもらった分と考えるのが自然です。
名義を変える場合は、その車の評価額です。
中古車の実際の取引価格などから見た、そのときの値打ちのことです(国税庁)。
親から18歳以上の子への贈与には「特例税率」が使えます。
110万円を引いたあとの金額が200万円以下なら、税率は10%です(国税庁)。
たとえば、下取りが20万円だったとします。
🧮 下取りが20万円だった場合(仮の計算)
| その年にもらった合計 | 給付金110万円+下取り20万円=130万円 |
| 110万円を引いた残り | 130万円−110万円=20万円 |
| 贈与税 | 20万円×10%=2万円 |
※数字はたとえです。給付金が110万円ちょうどだった年として計算しています。
この2万円を、翌年の2月1日から3月15日までに申告して納めれば、その年の贈与税は済みます。
ただ、うちの車は年式のわりにきれいです。
高く売れるほど、税金も増えます。
古い車だから大した額ではない、とは言い切れない。
そこが悩ましいところです。
私の提案は「現金で買い取ってもらい、代金は義父が受け取る」|親名義の車の売却

妻から相談されて、私が伝えたのはこういう形です。
①今の車は、義父が自分の車として売る
②買い取ってもらったお金は、義父が受け取る
③妻の新しい車は、妻が自分のお金で買う
義父の車が、義父のお金に変わるだけです。
妻は、義父から何ももらっていません。
贈与税は、人から財産をもらったときにかかる税金です(国税庁)。
もらっていなければ、贈与にはならないはずです。
ただし、気をつけることが三つあります。
- 売るのは名義人の義父です。普通車なら、義父の実印を押した譲渡証明書や、印鑑証明書などが要ります(国土交通省)。これは下取りでも同じで、義父に話を通さずには進みません
- 受け取ったお金を、あとで義父が妻に渡せば、それは贈与です。形を変えただけになります
- 手間は少し増えます。売る先と買う先が別になります。義父に用意してもらう書類は、下取りでも買取店でも変わりません。どちらも「車を売る」手続きだからです
もう一つ、先に知っておきたいのが、車がいくらで売れるかです。
金額が小さければ、税金を払って下取りにするほうが楽かもしれません。
大きければ、義父の名前で売る意味が出てきます。
義父の別の車を、査定も取らずに引き取ってもらい、1円にもならなかったことがあります。
同じことは、もうしたくありません。
💡 親名義の車がいくらで売れるか、先に知っておく
まずは無料の査定で、金額を確かめられます。
車買取のカーネクストは、査定から引き取り・手続きの代行まで無料で、来店も要りません(引き取りは一部離島を除く)。
▶ 無料査定を申し込む(カーネクスト 公式サイト)
※査定額は車種・年式・走行距離・状態によって変わります。1社で決めず、ほかの買取店の金額とも比べてください。
※車の名義が親御さんのままの場合は、必ず名義人ご本人の同意のうえで進めてください。
📖 義父の車を0円で手放して後悔した話はこちら
名義を親のままにしておくと?親の車の相続で困ることと、名義だけ変える道

何もしない、という選び方もあります。
車は義父の名義のまま、妻が乗り続ける形です。
今のうちは、それで大きく困ることはありません。
困るのは、所有者に何かあったときです。
所有者が亡くなれば、車は相続の手続きが要ります。
運輸局も、相続の手続きは非常に複雑なので、分からなければ前もって相談を、と案内しています。
売るにしても、名義人本人の書類(普通車なら実印と印鑑証明書)が要ります。
本人が手続きできなくなってからでは、話は簡単ではありません。
本人が元気なうちにしか決められない。
第1話の口座の話と、同じ形です。
名義を変えること自体は、贈与でなくてもできます。
車を手放さず名義だけ変えたいなら、子が親から代金を払って買う道もあります。
ただし、時価より著しく低い値段で買うと、その差額は贈与とみなされます(国税庁)。
どこからが著しく低いかは、個々に判断されます。
ここでも、まず車の値打ちを知っておくことになります。
もう1つの道は「相続時精算課税」|暦年贈与との併用と、7年ルール

贈与税には、今のやり方(暦年贈与)とは別に、もう一つの仕組みがあります。
相続時精算課税です。

贈与の制度って、2つあるの?

そう。
僕も説明はしたけど、決めるのは妻だからね。
60歳以上の親から18歳以上の子への贈与で選べる制度です(年齢は贈与の年の1月1日時点)。
しかも、贈与する人ごとに選べます(国税庁)。
義父の分だけ切り替えて、ほかの人からの分は今のまま、ということもできます。
- 年110万円までは税金がかからず、申告もいりません(2024年1月からの贈与)。この110万円は、暦年贈与の110万円とは別の枠です。義父からは精算課税の110万円、ほかの人からは暦年の110万円と、二つ持てる形になります
- 110万円を超えた分も、合計2,500万円までは、その時点では税金がかかりません。その代わり、義父が亡くなったときの相続財産に足し戻されます
- 一度選ぶと、その人からの贈与は、暦年贈与に戻せません
- 選ぶ最初の年は、もらった額が110万円以下でも、翌年2月1日から3月15日までに届出書を出します(出すのは一度だけ)。110万円を超えた年は、申告も必要です
切り替えると、その年から先の義父からの贈与は、全部こちらに移ります。
保険の給付金も、車の分もです。
給付金は年110万円の枠に収まり、車の分は2,500万円の枠から引かれる。
今払う税金は0円の計算です。
ただし、その年は合計が110万円を超えるので、0円でも申告は必要です。
期限内に申告しないと、その年の分には2,500万円の枠が使えず、税金がかかります(国税庁)。
⚖️ 亡くなったとき、どこまで相続財産に足し戻されるか(国税庁)
・暦年贈与:相続で財産を受け取る人がもらった分は、亡くなる前の一定期間(3年から段階的に7年へ)の分が、110万円以下でも足し戻される(延びた4年分は、合計100万円までは足し戻されない)
・相続時精算課税:年110万円以下の分は足し戻されない。超えた分は、いつの分でも足し戻される
子である妻は、ふつう「相続で財産を受け取る人」です。
80代の親から毎年受け取っているなら、ここも見比べる点になります。
どちらが得かは、親の財産の全体で変わります。
家のお金の全体を整理する相談はファイナンシャルプランナー(FP)、贈与税の個別の判断や申告は税理士。
うちの場合も、順番はそこからだと思っています。
💡 決める前に、家のお金の全体を整理する
親からの贈与、保険、資産の置き場所まで、家のお金の全体をファイナンシャルプランナー(FP)に無料で相談できます。
贈与税の個別の判断や申告は税理士の仕事ですが、その前に家のお金を見渡して、税理士に何を聞けばいいかを整理する相手になります。
※申し込めるのは20〜69歳の方です。親ではなく、子ども世代が自分の家のお金として相談する形になります。
まとめ|うちはまだ保留中。決める前に、車の値段と家全体の数字を確かめる
親名義の車をどうするか、考えられる道を並べると、こうなります。
| 道 | 気をつけること |
|---|---|
| A 税金を払って下取りに出す | 高く売れるほど税金も増える。翌年3月15日までに申告 |
| B 義父が売り、代金は義父が受け取る | 代金を妻に渡せば贈与。売る先と買う先が別になる |
| C 義父の分だけ相続時精算課税にする | 一度選ぶと戻せない。110万円を超えた分は相続のときに足し戻される |
| D 名義は義父のまま乗り続ける | 亡くなった後や、本人が手続きできなくなった後が大変 |
| E(買い替えずに乗るなら)妻が義父から代金を払って買う | 時価より著しく安く買うと、差額は贈与とみなされる |
※普通車なら、名義人(義父)の実印を押した書類(譲渡証明書や委任状)と印鑑証明書は、名義が動く道(D以外)のどれでも要ります。
妻は、まだ決めていません。
最初にやるのは、今の車がいくらで売れるかを知ることだと思っています。
金額が分かれば、AかBかは選べます。
Cまで考えるなら、親の財産の全体を見てからです。
📝 決める前に、確かめておく2つのこと
①親名義の車がいくらで売れるか →(カーネクスト 公式サイト・無料査定)
②家のお金の全体を整理して、税理士に何を聞くかをはっきりさせる(FPに無料相談)
※FP相談に申し込めるのは20〜69歳の方です。車の査定・売却は、名義人ご本人の同意のうえで進めてください。
📖 連載の第1話はこちら
【参考資料】
・国税庁 タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」
・国税庁 タックスアンサー No.4417「贈与税の対象になる生命保険金」
・東京国税局 文書回答事例(平成27年5月28日)「保険料負担者(保険契約者)以外の者が受け取る生存給付金の課税上の取扱いについて」
・国税庁 タックスアンサー No.4410「複数の人から贈与を受けたとき」
・国税庁 財産評価基本通達129「一般動産の評価」
・国税庁 タックスアンサー No.4423「個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」
・国税庁 タックスアンサー No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
・国税庁 タックスアンサー No.4103「相続時精算課税の選択」
・国税庁 タックスアンサー No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
・国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「車を売買等により名義変更するために必要な書類」
・関東運輸局「自動車の相続による手続き」
※制度の内容は記事作成時点(2026年10月)のものです。個別の判断は、税務署や税理士などの専門家にご確認ください。

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