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「よっこいしょ」が、二回、三回——。
50代後半の私がある日の帰省でハッとしたことがあります。80代の母が、いつもの座椅子から立ち上がるのに、テーブルのふちに手をついて何度も体を揺らし、やっとのことで腰を上げていたのです。昔はスッと立っていた人が、です。
正直、その時まで私は「椅子なんてどれも同じ」くらいに思っていました。でも、低い座椅子や座布団は、座るのは楽でも“立つ”ときに膝と腰へ全体重がのしかかる。転びかけてヒヤッとしたこともあって、本気で椅子を探し始めました。たどり着いたのが高座椅子(こうざいす)です。
年をとると、なぜ「立ち座り」が危ないのか
これは気の持ちようの問題ではありません。東京消防庁のデータによると、高齢者が日常生活でけがをして救急搬送される事故のうち、「ころぶ(転倒)」が8割以上を占め、令和6年には7万人以上が運ばれています。しかもその多くが住宅など屋内で起きています(屋内が9割以上)。

つまり、家の中の「立つ・座る」のひと動作こそ、親の体を守るうえで見直す価値があるということ。転倒対策の全体像は、別記事の高齢の親の転倒が怖い!今日からできる転倒予防の全対策もあわせてご覧ください。
高座椅子が「立ち座り」を楽にする理由
ポイントはシンプルで、座面が高いほど立ち上がりは楽になるということ。床から立つより椅子から立つほうが楽なのと同じ理屈です。普通の座椅子より座面が高く、脚と肘掛けが付いているのが高座椅子です。

後悔しない高座椅子・3つの選び方

① 座面の高さが「調節できる」か
体格や使う場所(テレビ前・食卓)で最適な高さは変わります。高さを数段階で変えられるものなら、親の膝の状態に合わせて一番立ちやすい高さにできます。ただし、高ければ高いほど良いわけではありません。座面が高すぎて足の裏が床にしっかり着かないと、かえって姿勢が不安定になり、太もも裏(膝の裏)も圧迫されてしまいます。だからこそ、親の膝下の長さに合わせて高さを調節できることが大切です。母のときは、ここを見落として高さ固定のものを候補にしかけ、危うく失敗するところでした。
② 木製の「肘掛け」があるか
立ち上がる瞬間、人は無意識に肘掛けへ手をついて体を持ち上げます。しっかりした肘掛けの有無で、立ち座りの楽さは段違い。ぐらつかない木製アームが安心です。
③ リクライニングで「長く座っても疲れない」か
高齢になると同じ姿勢が続くのも辛いもの。背もたれが倒せると、テレビや昼寝の時間がぐっと楽になります。
使い方で選ぶ・高座椅子おすすめ3モデル比較
上の3条件(高さ調節・木製の肘掛け・リクライニング)を手頃な価格で満たす定番を、「親がどう使うか」で3タイプ選びました。まずはひと目で違いがわかる比較表から。
| 比較項目 | 山善 SKC-56H (ハイバック) |
山善 WHT-53 (座面高め) |
エムール きらく |
|---|---|---|---|
| 背もたれの高さ | 47cm | 58.5cm(最も高い) | ハイバック※1 |
| 座面の高さ(調節) | 3段階 22/26/30cm |
4段階 26/30/34/38cm |
4段階 24/27/30/33cm |
| リクライニング | 6段階 | 背もたれ3段階 | ギヤ式5段階 |
| 重量・収納 | 約6.5kg 折りたたみ可 |
約7.5kg 折りたたみ可 |
約8kg 完成品 |
| こんな親に | もたれてゆっくり過ごしたい(筆者の母が愛用) | 座面・背もたれを高くしたい(背の高い親) | 背もたれを細かく倒したい |
※1 エムールは背もたれの高さを数値で公表していません。
※サイズ・色・価格・在庫・最新の評価は、各商品ページでご確認ください。仕様は各メーカー公式情報(2026年6月時点)に基づきます。
① ゆったりくつろぐなら:山善「優しい座椅子 SKC-56H」
「テレビを見ながら長く座る」「もたれてうとうとしたい」という親に、まずおすすめしたいのがこれ。山善(YAMAZEN)の「優しい座椅子 SKC-56H」は、背もたれが47cmと高めで、肩までしっかり預けてくつろげるハイバックタイプです。
- 座面の高さが3段階(22/26/30cm)で調節できる … 親の膝に合わせて一番立ちやすい高さに
- しっかりした木製の肘掛け … 立ち座りの“手すり”代わりになる
- 背もたれが高め(47cm)+6段階リクライニング … 肩まで預けてゆったりくつろげる
- 組立不要の完成品(約6.5kg)で届いてすぐ使え、贈り物にもしやすい
<実際に替えてみて>
80代の母は、それまでの低い座椅子では、立ち上がるときに膝ががくがくして、自力で立てないことがありました。それが心配で、この高座椅子に替えてみたところ、立ち上がりがぐっと楽になり、今もリビングで使ってくれています。正直、椅子ひとつでここまで変わるとは思っていませんでした。3つのうち迷ったら、まずこれが私の一番のおすすめです。
② 座面・背もたれを高くしたいなら:山善「WHT-53」
「もっと座面を高くして立ちやすくしたい」「背の高い親が肩までもたれてくつろげるものを」という家庭には、山善「WHT-53」が向いています。座面の高さを4段階(26〜38cm)と3モデルで最も高くまで上げられ、背もたれも最も高い(58.5cm)のが特長です。背もたれを倒して折りたためるので、収納もしやすいタイプです。
- 座面の高さが4段階(26/30/34/38cm)と高めまで調節でき、立ち上がりをさらに楽に
- 背もたれ58.5cm+背部3段階リクライニングで、もたれてもくつろげる
- 折りたためるので、来客時や掃除のときに片付けやすい(約7.5kg)
③ 背もたれを細かく倒したいなら:エムール「きらく」
「リクライニングの角度を自分好みに細かく決めたい」という場合は、寝具メーカーエムール(EMOOR)の高座椅子「きらく」が候補です。背もたれをギヤ式で5段階に倒せるのが特長で、座面の高さも4段階(24/27/30/33cm)に調節できます。届いてそのまま使える完成品です。
- 背もたれがギヤ式5段階リクライニングで、好みの角度に細かく調節できる
- 座面の高さが4段階(24/27/30/33cm)に調節でき、体格に合わせて立ちやすい高さにできる
- 組立不要の完成品(約8kg)。木製肘掛け付きで立ち座りの支えになる
※どのモデルも、サイズ・色・価格・在庫は最新の商品ページでご確認ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 普通の座椅子とどう違う?
A. 座面の高さです。高座椅子は脚があり座面が高いぶん、立ち座りの負担が小さくなります。
Q. 一人暮らしの親に贈っても大丈夫?
A. 折りたためるタイプや軽量タイプもあります。設置スペースと、親が普段過ごす場所に合うか確認しましょう。
Q. 介護保険でレンタルできない?
A. 一般的な高座椅子は介護保険のレンタル対象外のことが多く、購入が基本です。迷う場合はケアマネジャーに相談を。
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まとめ
高齢の親への椅子選びは、「座り心地」より先に「立ちやすさ」で選ぶのが正解です。母の「よっこいしょ」を減らせた経験から、私が見るのはこの3点です。
- 座面の高さが調節できる
- 木製の肘掛けがある
- リクライニングで疲れにくい
家の中の転倒を一つでも減らすために。親の毎日の動きが、少しでも楽になりますように。


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