
この記事は、身近に高齢者が多い私が、公的機関の資料を確認しながらまとめたものです。私は医療や税の専門家ではありません。制度の内容は2026年6月時点のもので、お住まいの自治体や税務署によって扱いが異なります。最終的な判断は、補聴器相談医・お住まいの役所・税務署にご確認ください。
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「補聴器って、どうしてこんなに高いの?」——親御さんの聞こえが悪くなってきて、お店をのぞいてみたら片耳で10万円、20万円という値札。思わず固まってしまった、という方は本当に多いです。私の義父も80代で耳が遠くなり、家族で値段を調べたときには「家電よりよっぽど高いね」と顔を見合わせたものでした。
でも、安心してください。補聴器は「定価で全額自腹」で買うものとは限りません。使える制度を知っているかどうかで、同じ補聴器でも実質の負担は数万円単位で変わります。この記事では、補聴器の値段の相場、なぜ高いのか、そして医療費控除・自治体の助成金で安くする方法を、できるだけやさしく順番に解説します。
補聴器の値段の相場はいくら?片耳10〜30万円が中心
最も多い価格帯は「片耳10万円台」
まず相場感をつかみましょう。一般社団法人 日本補聴器工業会の大規模調査「JapanTrak 2025」によると、補聴器1台あたりの購入価格帯は「10万円以上20万円未満」が最も多く約35%、次いで「20万円以上30万円未満」が約13%でした。つまり片耳でだいたい10万〜30万円が中心で、両耳に着ける場合はおよそその2倍と考えておくとよいでしょう。
価格帯の目安(1台・片耳)
出典:JapanTrak 2025(日本補聴器工業会)ほか。両耳は約2倍。金額は目安です。
こうして並べると、よく似た形でも「集音器」と「補聴器」では値段がまるで違うことが分かります。この差の正体を知ることが、無駄なく賢く選ぶ第一歩です。
補聴器が高い理由は?値段が上がる3つの原因

原因①:一人ひとりの聞こえに合わせる「医療機器」だから
補聴器は、薬機法上の「管理医療機器」です。聴力検査の結果に合わせて、低い音・高い音をどれだけ補うかを細かく調整(フィッティング)します。この「人に合わせる手間と技術」が価格に含まれているのです。一方、家電量販店や通販で数千円〜2万円ほどで売られている「集音器」は周りの音をまとめて大きくするだけの機器で、医療機器ではありません。安い代わりに、自分の聞こえに合わせる機能はありません。
原因②:超小型に高性能をつめ込む開発コスト
耳の中に収まる小さな本体に、雑音を抑えたり、会話を聞き取りやすくしたりするコンピューターが入っています。高機能なモデルほど、この中身が高度になり値段も上がります。卸売の仕事を長くしてきた私から見ても、これだけ小さな精密機械でこの価格は、決して「ぼったくり」ではないと感じます。
原因③:購入後の調整・アフターケア代も込み
補聴器は「買って終わり」ではありません。使いながら何度もお店で再調整して、ようやく自分の耳に馴染みます。販売価格には、この継続的なサポート代も含まれていることが多いのです。つまり補聴器の値段は「機械の代金+一生ものの調整サービス代」だと考えると納得しやすくなります。
補聴器を安く買う方法は?負担を減らす3つの制度
「医療費控除」「自治体の助成」「まず試す」の3本立てで考える
高い理由が分かったところで、本題の「安くする方法」です。私自身、親族の補聴器を一緒に探したときにいろいろ調べましたが、結局はこの3つを組み合わせるのが現実的でした。順番に見ていきましょう。
①医療費控除
条件を満たせば税金が戻る
②自治体の助成
購入費の一部を補助
③まず試す
集音器で聞こえを体験
医療費控除は使える?補聴器が対象になる条件
「補聴器相談医」の診療情報提供書があれば対象になりうる
補聴器の購入費は、条件を満たせば確定申告の「医療費控除」の対象になります。国税庁の取扱い(平成30年公表「補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて」)によると、耳鼻咽喉科の「補聴器相談医」が、診療や治療のために補聴器が必要だと「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」で証明した場合に、一般的な水準を著しく超えない部分の購入費が対象になります。さらに、その補聴器を「認定補聴器技能者のいる認定補聴器専門店」で購入することが必要です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、医療費控除を受けるための流れを次のように案内しています。
医療費控除までの流れ
注意したいのは、順番です。先に補聴器を買ってしまうと条件を満たせない場合があるので、まず補聴器相談医を受診すること。これが大切です。お近くの補聴器相談医は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のサイトで探せます。
自治体の助成金はもらえる?高齢者向け補聴器助成の例

区市町村ごとに対象・金額が違う。「購入前の申請」が鉄則
身体障害者手帳の対象になるほどではない、いわゆる加齢による軽度〜中等度の難聴でも、最近は独自に補聴器購入費を助成する自治体が増えています。金額や条件は自治体ごとにまったく違いますが、実例を2つ挙げます(いずれも各自治体公式サイト・2026年6月時点)。
| 自治体 | 主な対象 | 助成上限 |
|---|---|---|
| 東京都・品川区 | 満65歳以上で、耳鼻咽喉科医師が補聴器装用の必要を認めた方 ほか | 72,450円 |
| 大阪市 | 65歳以上で両耳とも30〜70dB未満、補聴器相談医が必要と認めた方 ほか | 25,000円 |
出典:品川区・大阪市 各公式サイト(2026年6月時点)。条件・金額は変更されることがあります。
どちらの自治体にも共通する最重要ポイントが、「助成の決定を受ける前に買った補聴器は対象外」=必ず購入前に申請すること。「とりあえず買ってから役所に相談」では間に合いません。まずはお住まいの市区町村の高齢福祉の窓口に「補聴器の助成はありますか?」と一本電話を入れるのが確実です。
いきなり高い補聴器は不安…まず何から始めればいい?

「集音器」で聞こえを体験し、消耗品で長持ちさせる
とはいえ、「いきなり10万円超の買い物は怖い」「本人が使ってくれるか分からない」という不安もよく分かります。ただ、その前に順番が大切です。急に聞こえが悪くなった・片耳だけ聞こえにくい・耳鳴りやめまいを伴うといった場合は、治療で治る病気が隠れていることもあります。まずは耳鼻咽喉科(補聴器相談医)を受診し、治療が必要な難聴ではないかを確認するのが大前提です。そのうえで、ご本人が補聴器に強く抵抗する・予算的にどうしても迷う、というときの“一時的なステップ”として、手頃な集音器で「聞こえが良くなるとこんなに楽なんだ」という体験から始めるのは有効です。古物商として中古品も扱う立場から言うと、いきなり高額品を買って引き出しで眠らせるより、よほど無駄がありません。
ここからは、最初の一歩におすすめの商品を3つ紹介します(楽天市場・価格は変動します)。
①まず会話・テレビで試したい人へ
プリモ 助聴器「聴六(ちょうろく) HA-6」。耳に入れず手元で使える集音器。単4電池式でスイッチも大きく、機械が苦手な親世代でも扱いやすいタイプです(医療機器の補聴器ではありません)。
楽天市場で詳細を見る②補聴器・集音器を長持ちさせたい人へ
補聴器乾燥器「パーフェクトドライ ラックス」。汗や湿気は故障の大敵。毎晩入れておくだけでUV除菌+乾燥ができ、買い替えコストを抑える助けになります。
楽天市場で詳細を見る③乾燥剤でこまめに湿気対策したい人へ
シグニア 補聴器乾燥カップ(シリカゲル入り)。密閉カップに入れておくだけで湿気を吸収し、乾燥剤は詰め替えもできます。消耗品を上手に使うのも、長く安く使うコツです。
楽天市場で詳細を見る集音器と補聴器はどう違う?買う前に知っておきたい差
集音器は「お試し」、長く本気で使うなら補聴器
ここで大事な注意点です。集音器はあくまで「音を大きくする道具」で、聞こえの改善を医学的に保証するものではありません。難聴が進んでいる場合や、長く本気で使うなら、補聴器相談医に相談して自分に合った補聴器を選ぶのが結局いちばんの近道です。下の表で違いを整理しておきます。
| 集音器 | 補聴器 | |
|---|---|---|
| 分類 | 家電(医療機器ではない) | 管理医療機器 |
| 値段 | 約3千〜2万円 | 片耳10〜30万円が中心 |
| 個別調整 | 大・中・小など音量調整のみ | 聴力に合わせて細かく調整 |
| 医療費控除 | 対象外 | 条件を満たせば対象 |
💡 値段を抑えて“本物の補聴器”を試したい方へ
「いきなり10万円超は不安。でも集音器ではなく、管理医療機器の“補聴器”をきちんと試したい」という方には、スマホアプリで聞こえを自分で調整できるデジタル補聴器という選択肢があります。下記はその一例で、SHARP製のデジタル補聴器(管理医療機器)です。
※通販で補聴器を選ぶときは、返品・試聴保証や調整サポートの有無を必ず確認してください。聞こえの低下が大きい方や、調整が難しいと感じる方は、お近くの補聴器販売店での相談(試聴)もおすすめします。
補聴器の値段に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 補聴器は両耳とも必要ですか?
A. 両耳の聞こえが落ちている場合、左右どちらから話しかけられているか分かりやすくなるなどの理由で両耳装用が勧められることがあります。実際、補聴器を持っている人のうち両耳に着けている割合は4〜7割ほどというデータもあります。ただし費用も約2倍になるため、まずは補聴器相談医と相談して決めるのが安心です。
Q2. 集音器でも医療費控除は受けられますか?
A. いいえ。医療費控除の対象は、補聴器相談医の証明を受けて認定補聴器専門店で買った「補聴器」です。家電である集音器は対象外と考えてください。
Q3. 助成金と医療費控除は両方使えますか?
A. 制度上は別のしくみなので、自治体の助成を受けたうえで、自己負担分について医療費控除を申請できる場合があります。ただし扱いは自治体・税務署で異なるため、申請前に役所と税務署の両方に確認することをおすすめします。
Q4. 通販で安い補聴器を買っても大丈夫?
A. 「補聴器」として売られていても、調整やアフターケアが受けられないものだと、結局合わずに使わなくなることがあります。長く使うなら、調整してくれるお店で買うのが安心です。通販で手軽に始めたいなら、まずは集音器で聞こえを試してみるのが現実的です。
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まとめ|制度を知れば、補聴器はもっと身近になる
補聴器の値段は片耳10〜30万円が中心で、決して安くはありません。でも、その高さには「医療機器としての調整・サポート」という理由があり、そして医療費控除・自治体の助成金・段階的に試す工夫を組み合わせれば、負担は確実に軽くできます。聞こえは、家族の会話や安全に直結する大切なもの。値段だけであきらめず、まずは補聴器相談医とお住まいの役所に相談してみてください。
「いきなり補聴器はハードルが高い」というご家庭は、手元で使える集音器から聞こえの変化を体験してみるのも一つの方法です。この記事の前半で紹介した集音器(プリモ 助聴器「聴六 HA-6」)などから無理のない範囲で試し、「やはり本格的に」と思ったら補聴器相談医に相談して、医療費控除や自治体の助成を上手に活用してくださいね。
【参考にした主な公的資料】国税庁「補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて」/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「補聴器購入者が医療費控除を受けるために」/日本補聴器工業会「JapanTrak 2025」/品川区・大阪市 各公式サイト(いずれも2026年6月時点)。
