実家の片付けブログ|物を捨てられない親を怒らせずに進めた記録

※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

商売道具や家財、着物が積み上がった高齢の親の家の室内

商売をしていた義父母(妻の両親)の家は、ひとことで言うと「物の山」でした。
1階と2階は事務所と倉庫、3階が住まい。そこに、何十年ぶんもの商売道具と家財、それに大量の着物が詰まっていました。

80代になり、大きな建物を持て余して、小さな家へ引っ越すことになりました。
でも、いざ片づけようとすると、これがまったく進まないのです。
結局、引っ越しに間に合わせるまでに2か月かかりました。

「まだ使えるから」「もったいない」「勝手にさわるな」——。
そのたびに手が止まり、ときには言い合いにもなりました。高齢の義父母に代わって、私たち夫婦が中心になって判断するしかない。けれど、何から手をつければいいのか、本当に途方に暮れました。

同じように「親が物を捨てられない」「実家が片づかない」で悩んでいる方は、きっと多いはずです。
この記事では、わが家の体験と、ネット上に集まった同じ悩み約75件の集計をもとに、怒らせずに少しずつ進めるための声かけと、捨てる前のひと手間をまとめました。
まだ話を切り出せていない方に向けた最初のひと言から、においや虫が出てきてしまったときの公的な相談先まで、順番に書いています。

※すでに玄関や廊下まで物でふさがっている、においや虫が出ている——という段階の方は、声かけの工夫より先に読んでいただきたい章があります。においや虫が出てきたとき|公的な相談先へ移動する

※この記事は、親御さんが元気な「いま」の片づけの話です。親御さんが亡くなったあとの遺品整理や、家をどうするかの決断については、記事の最後でくわしい記事をご案内します。

親が物を捨てられないのは“わがまま”ではない|悩み約75件でわかった本当の理由

「どうしてこんなに捨てられないの?」
当時はそう思っていました。でも、これはわが家だけの話ではありません。

同じ悩みがネット上にどれくらいあるのか、Q&Aサイトに寄せられた相談を当サイトで集めて、内容ごとに分けてみました。
採用したのは「親が存命で、物を捨てられない・実家が片づかない」相談、約75件。多かった順に並べると、こうなりました。

「親が物を捨てられない」悩みの内訳(多い順)

①「もったいない・まだ使える」で手放せない
約14件
②勝手に捨てると怒る・同意が得られない
約11件
③実家が物で溢れて片づかない
約11件
④高齢・判断力の低下でゴミ屋敷化
約9件
⑤親の死後・終活が不安/一人っ子で背負う
約7件
⑥遠方で手に負えず、業者を検討
約6件
⑦買い続けるのに捨てない(買い物癖)
約5件
⑧捨てることへの罪悪感
約5件
⑨親の物が子の生活空間を圧迫
約4件

※2026年6月、Yahoo!知恵袋の公開Q&Aから「親 物を捨てられない」「実家 物が多い 片付かない」など複数の語で寄せられた相談 約75件を抽出し、当サイトが手作業で内容を分類・集計した概算値です。件数は目安としてご覧ください。

いちばん多かったのは、②③のような「片づかない・怒られる」ではなく、①の「もったいない・まだ使える」でした。
ここが、わが家でも一番つまずいたところです。

物がない時代を生きてきた世代にとって、まだ使えるものを捨てるのは「悪いこと」なのだと思います。
つまり、親が物を捨てられないのは、わがままでも頑固でもなく、その人なりの大事にしてきた価値観なのですね。そう気づいてから、声のかけ方が少し変わりました。

ただ、なんでもかんでも「価値観だから」で片づけてしまうのも、少し危ういと思っています。
そうではない場合が、まれにあるからです。

「価値観」ではないこともあります

物をためこんで捨てられない状態が、暮らしに支障が出るほど強い場合、医学の世界では「ためこみ症」という病名で扱われることがあります。
世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD-11で、新しく設けられた診断名です。
日本精神神経学会の解説によれば、主な症状は「過剰なものの収集と、それらをためこみ、捨てられない」こと。
重くなると、ためこんだ物が衛生上の問題を起こしたり、失火や崩落によるけがの原因になったりして、本人だけでなく近隣にも影響が及ぶことがあるとされています。
また、症状は典型的には10代に現れ、慢性的に続いていく経過が特徴とも書かれています。

つまり、ざっくりした見当としてはこうなります。
昔からずっとこうだった。明らかに使えない物まで積み上がり、玄関や廊下までふさがっている——この場合は、価値観の話として声かけだけで解こうとしないほうがいいかもしれません。
一方、ここ1〜2年で急に変わった。前はきれい好きだったのに様子が違う——この場合は、上に書いた「10代に現れて慢性的に続く」という経過と合いません。つまりためこみ症ではなく、別の原因が考えられます

どちらの場合も、声のかけ方を工夫すれば解ける話ではないかもしれません。
そして、家族が見分けられるものでもありません。
とくに「急に変わった」ほうは、片づけの工夫より先に、相談する場所を変えたほうが早いです。

▼ 公的な相談先の章へ移動する

参考:中尾智博「強迫症または関連症群」日本精神神経学会『精神神経学雑誌』第123巻6号(ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ)

そもそも「片づけよう」と切り出せない|最初のひと言をどうするか

実家の居間でちゃぶ台を挟んで向かい合う80代の親と50代の子。背景の棚には物や段ボール箱が積まれている

ここまで読んで、「いや、その手前で止まっているんです」と思われた方もいるかもしれません。
片づけの話を出した瞬間に、親の機嫌が悪くなる。
だから、いまだに何も始められていない——。
実は、ここでつまずいている方が、いちばん多いのではないかと思っています。

正直に書いておくと、わが家には「引っ越し」という、わかりやすい理由がありました。
大きな建物を手放して、小さな家へ移る。
「片づけないと物が入らない」という、動かしようのない事情があったのです。
その点では、恵まれていたと思います。

でも、そんな理由がないご家庭のほうが、ずっと多いはずです。
親は元気だし、家も広い。
急ぐ理由が、どこにもない。
そこへ「そろそろ片づけよう」と言えば、「まだ死なないよ」と返ってくるのも、当たり前だと思います。

もし、わが家に引っ越しの予定がなかったら。
私なら、こんなふうに切り出すと思います。
共通しているのは、親の物を主語にしないことです。

「片づけ」と言わずに始めるひと言(例)

  • 自分の物から。「私の荷物、まだ置いてあるでしょう。そろそろ引き取りに行っていい?」
    最初に手を入れるのが自分の物なら、親は責められている気がしません。
  • 安全を理由にする。「地震のとき、この棚が倒れたら危ないから、固定させて」
    物を否定せず、「置き方」の話にすり替える言い方です。
  • 通り道だけに限る。「玄関とトイレまでの道だけ、広くさせてくれる?」
    家全体ではなく、転ばない導線だけ。断りにくく、効果も大きいところです。
  • 孫に登場してもらう。「今度、泊まりに行きたいって言ってるの。布団を敷ける場所、作っていい?」
    片づけの目的が「親のため」でなくなると、急に受け入れやすくなります。
  • 期限を作らない。「今日じゃなくていいから」と先に言ってしまう。
    返事がノーでも、それは一回分のノーです。関係が終わったわけではありません。

大事なのは、一度で決めようとしないことでした。
わが家も、その場ですんなりうなずいてもらえたことのほうが少なかったです。
断られたら、その日はやめる。
そしてまた別の日に、別の入り口から。

この記事の残りは「動き出したあと」の話です。
でも実際にやってみると、動き出す前のここが、いちばん長いのだと思います。
まだ何も始まっていなくても、それは遅れているわけではありません。

「捨てて」と言うほど片づかない|わが家で効いた“怒らせない”声かけ

高齢の親と成人した子が畳の部屋で一緒に穏やかに引き出しの中身を片づけている様子

集計でも2番目に多かったのが「勝手に捨てると怒る」でした。
これは本当に、よくわかります。よかれと思って片づけると、かえってこじれるのです。

わが家で失敗したのは、まさに「捨てて」「いらないでしょ」と正面から言ったときでした。
言えば言うほど、義父母は身構えてしまう。手は止まる。空気は悪くなる。いいことが一つもありませんでした。

そこで、言い方を変えてみました。効いたのは、次のようなことです。

わが家で空気が変わった声かけ

  • 「捨てる」を言わない。「どれをとっておく?」と、残すものを選んでもらう。
  • 主語を自分にする。「私が困っていて」「手伝ってほしい」と頼る形にする。
  • 1日1か所、15分だけ。引き出し一つ、棚一段。全部やろうとしない。
  • その場で決めさせない。「迷う箱」を作って、保留してOKにする。
  • 思い出話を急かさない。手が止まっても、それは整理が進んでいる時間。

ポイントは、こちらが「捨てさせる人」にならないことでした。
あくまで決めるのは親。私たちは手伝う係。そう割り切ると、不思議と少しずつ前に進みました。

急がせないこと、勝ち負けにしないこと。
これだけで、ずいぶんお互いにラクになりました。

捨てる前に“価値”を確かめる|「もったいない」を成仏させるひと手間

いちばん多い悩みだった「もったいない」。
これに、わが家で効いたのが「捨てる前に、いくらになるか見てもらう」でした。

私は新品の雑貨の卸売を長く続けるかたわら、それとは別に、古物商の許可を得て中古品を扱う仕事もしてきました。
そのせいか、「これは値がつく」「これはもう値がつかない」が、なんとなく見えます。
そして実際にやってみて分かったのは——親は「ゴミにされる」のは嫌でも、「価値を認めて引き取ってもらう」のは受け入れやすいということでした。

義父母の家からは、着物が山のように出てきました。
「全部捨てる」と言えば怒られたでしょう。でも「これは値打ちがあるか、見てもらおう」と言うと、すんなり手放してくれたのです。
もったいないが、ちゃんと“成仏”した感覚でした。

着物・骨董・古い道具などは、自分で価値を判断するのは難しいものです。
無理に値踏みせず、出張で見てくれる買取に査定だけ頼むのも一つの手です。値がつかなければ断ればいいだけなので、気軽に使えます。

※査定を頼む前にやっておく準備と、悪質な「押し買い」との見分け方は、こちらにまとめています。親御さんが一人で応対する場合に伝えておきたいことも書きました。
出張買取ウリエルの評判・口コミは?親の家を片づける前に知っておきたい注意点

捨てる前に、まず「いくらになるか」だけ確かめたい方へ。

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上の出張買取が対応エリア外だった方へ。公式サイトのよくある質問に、出張査定・宅配査定のどちらも日本全国に対応していると明記している買取店もあります。

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大量の着物が出てきたときの体験や、価値の確かめ方は 実家を売ったら大量の着物が出てきた話 にくわしくまとめています。あわせてどうぞ。

親が元気なうちに少しずつ|“生前整理”は片づけより「気持ちの整理」

片づいた明るい和室で高齢の親と子が思い出の写真アルバムを手に取り笑顔で話す様子

こうした片づけは、最近「生前整理」と呼ばれます。
言葉だけ聞くと身構えてしまいますが、要は「元気なうちに、本人と一緒に少しずつ片づけておく」こと。それだけです。

やってみて実感したのは、生前整理は「物の整理」というより「気持ちの整理」だということでした。
一つひとつ手に取りながら、「これは○○のときに買ったね」と話す。その時間そのものに、意味がありました。

進め方に正解はありません。
わが家が実際にどんな順番でやったかは、記事の後半にまとめました

急がないこと。終わらせようとしないこと。
「片づける」ではなく「一緒に振り返る」くらいの気持ちのほうが、結局うまくいきました。

なお、片づけの途中で「最近、物のしまい場所が極端に分からなくなった」「郵便物まで失くす・捨ててしまう」といった変化に気づくこともあります。
判断力の低下が心配なときは、無理に一人で抱えず、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。介護や物忘れの相談ができる、公的な窓口です。

においや虫が出てきた・家族だけでは追いつかないとき|公的な相談先

自宅のダイニングテーブルで相談窓口に電話をかけ、メモを取りながら話を聞いている50代の女性

ここまでは、「1日15分」で少しずつ進める話でした。
でも、そのペースではとても追いつかない、という状況もあります。
生ゴミが残っている。においがする。虫が出た。ご近所から言われた。
こうなると、声かけの工夫だけではどうにもなりません。

そして、ここがいちばん知られていないところなのですが——この段階は、家族だけで抱える話ではありません
自治体には、すでに窓口があります。

環境省が全国1,741の市区町村すべてに行った調査(回答率100%)に、こんな数字が出ています。

全国の自治体の実態(環境省調査)

  • 直近5年度で、いわゆる「ごみ屋敷」の事案を把握している市区町村は672(全体の38.6%)。めずらしい相談ではありません。
  • 把握のきっかけとして「原因者の親族等からの相談」を挙げた市区町村は141(21.0%)。つまり、家族から相談していい話です。
  • 対応した部署は「環境担当」が最も多く、次いで「生活保護担当」「障害者担当」。ごみの話としてだけでなく、福祉と連携して動いています。
  • 敷地内のごみを撤去した151市区町村のうち、150市区町村(99.3%)が本人などの同意を得たうえで撤去しています。

出典:環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月公表・調査時点 令和6年11月末・全1,741市区町村/回答率100%)

最後の一つが、私はいちばん大事だと思いました。
「相談したら、親の物を勝手に処分されてしまうのでは」と心配される方がいます。
でも実際には、ほとんどの自治体が本人の同意を取ってから動いています。
取り上げられるのではなく、一緒に考えてくれるところだと思ってください。

では、どこに電話すればいいのか。
迷ったら、まず地域包括支援センターで大丈夫です。

こんなとき 相談先 できること
どこに相談していいか分からない/親の物忘れや体力の低下も気になる 地域包括支援センター 高齢者の総合相談の窓口。市町村が設置していて、全国5,487か所(支所を含めると7,374か所)あります。介護保険の相談、権利を守るための支援、必要な部署へつなぐところまで。
ごみが出せていない/においや虫が出ている 市区町村の環境・清掃・廃棄物の担当課 現地の確認、ごみの出し方や分別の相談、収集の調整。自治体によっては、撤去そのものを手伝う仕組みを持っています。
ごみ出しに行くこと自体が体力的に難しい 高齢者のごみ出し支援(「ふれあい収集」などの名前) 玄関先まで取りに来てくれる制度。実施している自治体とそうでない自治体があるので、まず有無を聞いてみてください。
処分にかかるお金が出せない 市区町村の福祉・生活支援の担当課 環境省の調査では、生活保護の担当部署が家財の処分料を扶助した例、居宅の清掃を業者に依頼した例が報告されています。

出典:厚生労働省「地域包括支援センターについて」(設置数は令和7年4月末現在)/環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」

電話で、いきなり全部を説明しなくて大丈夫です。
「親が高齢で、家が片づかなくて困っています」——これだけで通じます。
先ほどの調査でも、家族からの相談がきっかけで動き始めた自治体が141ありました。
珍しい相談でも、恥ずかしい相談でもありません。

それでも「親が嫌がるから、行政に言うのは気が引ける」という方も多いと思います。
その気持ちはよく分かります。
ただ、においや虫はご近所に伝わりますし、積み上がった物は火事のときに逃げ道をふさぎます。
親御さんを守るための相談だと考えると、少し電話しやすくなるかもしれません。

遠くて手が回らない・量が多すぎるときは|費用の決まり方と業者の選び方

集計でも一定数あったのが、「実家が遠い」「量が多すぎて、家族だけでは無理」という悩みでした。
これは、気持ちや声かけでどうにかなる話ではありません。

わが家も、商売道具と家財の量は、夫婦だけではとても運び切れませんでした。
こういうときは、無理をせずに不用品回収を頼むのが現実的です。値がつくものは買取で、残りはまとめて回収。そう割り切ると、一気に前へ進みます。

では、いくらかかるのか。
金額は家の状況でまったく変わるので、相場を調べるより先に「何で金額が変わるのか」を知っておくほうが、たぶん役に立ちます。

不用品回収の金額は、だいたいこの4つで決まります

  1. 積む量。トラックの大きさと台数で数えます。「軽トラックパックいくら」「2トントラックパックいくら」という出し方が一般的です。
  2. 運び出す手間。階段かエレベーターか。家の前までトラックを寄せられるか。玄関から何メートル運ぶか。同じ量でも、ここでかなり変わります。
  3. どこまで任せるか。自分で分別して玄関先に出しておくのか、部屋の中から全部やってもらうのか。人手と時間が変わるぶん、金額も変わります。
  4. 家電が混ざっているか。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は家電リサイクル法の対象で、別に料金がかかります。ここは「積み放題に込み」にはなりません。

義父母の家でいちばん効いたのは、2つめでした。
3階建ての建物に何十年ぶんもの商売道具と家財が詰まっていて、しかもエレベーターがありませんでした
3階の住まいの家財も、1階と2階の商売道具も、すべて階段で下ろすしかない。
これが本当に大変で、量そのものより、ここで人手と時間を取られたと思います。
同じ量でも、エレベーターのあるマンションと、階段だけの3階建てとでは、まるで別の仕事になります。

もうひとつ、「やっておいてよかった」と思うことがあります。
着物や古い道具を、先に査定に回したことです。
値がついたものは回収に出さなくて済むので、そのぶん積む量そのものが減ります
前の章で「捨てる前に、いくらになるか見てもらう」と書いたのは、気持ちの問題だけではありません。
あとの費用にも、ちゃんと効いてきます。

そのうえで、見積もりの取り方です。
金額は家によって違いますが、取り方の順番は誰がやっても同じなので、ここは書けます。

国民生活センターが、この不用品回収サービスについて注意喚起を出しています。
全国の消費生活センターに寄せられた相談は、2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度は2,231件と、年々増えています。
「軽トラックパック7,000円・2トントラックパック2万5,000円」という広告を見て頼んだら、積み込みが終わってから25万円と言われた。
「トラック詰め放題」のはずが、当日「荷台の囲いの高さまでしか載せられない」と言われた。
——実際に寄せられた相談です。

見積もりを取るときの4つ(国民生活センター)

  • 市区町村のホームページなどから、一般廃棄物処理業の許可業者を探す
  • 追加料金の有無を確認する
  • 作業内容と料金を、明確に出してもらう
  • キャンセル料を確認する

家庭から出る廃棄物を集めて運ぶには、「一般廃棄物処理業の許可」または「市区町村からの委託」が必要です。広告を大きく出している事業者が、必ずしも許可を持っているとは限らない——と同センターは注意を促しています。頼む前に、市区町村の窓口かホームページで確認しておくと安心です。

出典:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!-」(2022年11月2日公表)

もうひとつ、この記事を読んでいる方に関係の深い数字があります。
同じ報告書に、相談を寄せた人の年代別の平均契約金額が載っています。
20代・30代が10万円台なのに対して、50代は約28万円、60代は約32万円、70代は約26万円、80歳以上は約25万円。全年代の平均は約21万4,000円です。

誤解のないように書いておくと、これは相場ではありません。
トラブルとして相談が寄せられた事案の平均額です。
ただ、親世代のほうが高い金額を払わされている、という傾向は読み取れます。

実際にあった相談(70歳代・女性)

ポストに入っていたチラシを見て電話し、冷蔵庫などの回収を3万5,000円で依頼した。
当日、作業員は価格表を見せながら「5万5,000円」と言う。
さらに「冷蔵庫は一人で運べないから、もう一人呼ぶ」と、別の軽トラックで男性が来た。
作業が終わると「トラックが2台になったので11万円」。
「現金がないので払えない」と言うと、「すぐ近くに金融機関があるので下ろしてくればよい」。
怖くなって銀行へ行き、11万円をおろして渡した。契約書などの書面は、一切もらっていない。

国民生活センターの報告書に載っている相談事例(2022年6月受付)を要約しました。

私が怖いと思うのは、ここです。
この記事は「親の家を、子が片づける」話ですが、実際には見積もりの日と作業の日に、親御さんが一人で応対してしまうことがあります。
断りづらい空気を作られたときに、80代の親に「いえ、結構です」と言えというのは、酷だと思います。

ですので、お願いしたいことは一つです。
見積もりの日と作業の日だけは、できるだけ立ち会ってください。
遠方でどうしても無理なら、その場で自分に電話をつないでもらう。「息子(娘)と話してください」と言えるだけで、空気が変わります。
そして立ち会ったら、電話だけで金額を決めず、現物を見てもらったうえで「これ以外に追加はありますか」と、その場で一度、声に出して聞いてください。
親御さんに任せきりにしない——それだけで、防げるものはかなりあります。

量が多い・遠方で通えない・自分たちでは運べない、というときに。

不用品をまとめて処分・見積もりを取る(ECOクリーン)▶

※対応エリア・料金はリンク先でご確認ください。複数社で見積もりを比べると安心です。

見積もりを取るときの4つのポイント(許可・追加料金・作業内容と料金・キャンセル料)は、こちらに依頼する場合も同じように確認してください。とくに一般廃棄物処理業の許可の有無は、市区町村ごとの制度なので、お住まいの自治体の窓口やホームページでも確かめられます。自分が紹介する先だから確認しなくていい、ということはありません。

もし、もう払ってしまっていたら

ここまでは「そうならないための話」でした。
でも、この記事にたどり着いた方の中には、すでに払ってしまった方もいると思います。
その場合も、終わりではありません。

  • 作業のあとで想定外の金額を言われたときは、後日、納得した金額で支払う意思があることを示したうえで、その場での支払いは断る。支払いを迫る態度に身の危険を感じたときは、警察に連絡するのも一つの方法だとされています。
  • 見積もりのために呼んだ事業者と、その場で契約した場合広告の表示額と実際の請求額が大きく違う場合。こうしたケースは、特定商取引法の訪問販売にあたるとしてクーリング・オフなどが使える可能性があります。
  • 業者に「クーリング・オフはできない」と言われた、あるいは脅されてできなかった——という場合は、所定の期間を過ぎていてもクーリング・オフができるとされています。
  • 迷ったら一人で抱えず、消費者ホットライン188(局番なし)へ。最寄りの消費生活センターにつないでもらえます。

国民生活センターの案内にもとづく一般的な情報です。実際に使えるかどうかの判断は個別の事情によりますので、まずは消費生活センターにご相談ください。

この記事が受け持つのは、「業者に頼むかどうかの判断」と「頼む前の準備」までです。
そのうえで、金額そのものの比較——どの会社がどういう料金の出し方をしているのか、追加費用はどこで乗るのか、一括見積もりで比べるとどうなるのか——は、不用品回収業者おすすめ3社を比較した記事にまとめてあります。
見積もりを取る段階に進んだ方は、こちらをどうぞ。

わが家が実際に進めた順番

最後に、義父母の家を片づけたときに、わが家が実際にたどった順番を書いておきます。
正解ではありませんが、迷ったときの目安にはなると思います。
この順番で、引っ越しまでの約2か月でした。

  1. まず「捨てて」を封印。残すものを選んでもらう声かけに切り替えた。
  2. 迷わないゴミから処分。家が少し片づくと、本人もやる気が出た。
  3. 着物・道具は査定へ。値打ちを見てもらい、「もったいない」を成仏させた。
  4. 思い出の品は最後に、一緒に。写真や手紙は急がず振り返りながら。
  5. 残った大量の家財は不用品回収で。夫婦では運べない分はまとめて依頼。

振り返ると、最初に「捨てて」と言うのをやめたのが、いちばん効きました。
順番より、何より、親を急かさないこと。それに尽きると思います。

よくある質問

Q. 一人っ子で、実家の片づけを全部一人で背負っています。どうすれば?

全部を自分でやろうとしないことです。
値がつくものは買取に、量が多い部分は不用品回収に。お金で解決できるところは外に出して、自分は「親と話しながら決める」役に専念する。そう分けると、ぐっと負担が減ります。

Q. 親に判断力の低下が見られます。片づけを進めて大丈夫?

本人が混乱しているときに無理に進めると、かえって不安にさせてしまいます。
物忘れや判断力の低下が気になるときは、まず地域包括支援センターに相談を。介護や生活の支援につながることもあります。片づけは、その上で少しずつで大丈夫です。

Q. 片づけ中に怒らせてしまいました。どうフォローすれば?

その日は、いったん引くのがいちばんです。
「ごめん、急ぎすぎたね」と一言だけ。後日また、残すものを選んでもらう形で再開すれば大丈夫。片づけは何日かけてもいいものです。勝ち負けにしないことが、結局いちばんの近道でした。

Q. 捨てさせてしまったことに、罪悪感があります。

その気持ちが出てくるのは、親御さんを大事に思っているからだと思います。
ひとつだけお伝えしたいのは、「捨てた」と「手放した」は違うということです。
値打ちのあるものを買い取ってもらえば、それは次の誰かが使います。
写真に撮っておけば、物はなくても、記憶のほうは残ります。
どうしても引っかかるものは、無理に決めなくていいのです。ひと箱だけ残す。それで気持ちが収まるなら、十分に意味があります。
それでも苦しいときは、「あのとき、親と一緒に決めた」という事実だけを思い出してください。
一人で勝手に決めたのでなければ、それは片づけであって、奪ったことにはなりません。

Q. 親が次々に買ってしまい、片づけても追いつきません。

出口(捨てる)だけを頑張っても、入口(買う)が開いたままだと、たしかに追いつきません。
わが家で見直すとしたら、まず定期購入とテレビ通販です。頼んだ覚えのないまま毎月届いている、というのはよくあります。届いた箱と請求を、一度だけ一緒に並べてみてください。
そのうえで、買うこと自体は責めないほうがいいと思います。買い物は、外に出るきっかけであり、数少ない楽しみでもあるからです。
同じ物がいくつもあるようなら、「捨てよう」ではなく「いま何個ある?」と数える形にすると、機嫌をそこねずに気づいてもらえることがあります。
もし、支払いや届け先の管理が明らかに難しくなっている、高額な商品が続けて届いている——という場合は、消費者ホットライン188(局番なし・年末年始などを除き原則毎日)に電話すると、お住まいの消費生活センターにつないでもらえます。地域包括支援センターでも相談できます。

Q. 親の物が、こちらの生活空間まで圧迫しています。

「実家に置ききれない物が、うちに送られてくる」「自分の家の物置が、親の物で埋まっている」。
これも、実際によくある悩みです。
ここは、はっきり伝えていいところだと思います。
「もう置く場所がない」と言うのは、冷たいことではありません。
そのうえで、代わりの案を一緒に出すと角が立ちません。期限を決める(この夏までに決めよう)、写真に残して手放すどうしても残すなら親の家で預かってもらう
受け取ってしまうと、結局は同じ物を、あとで自分が処分することになります。
そこまで含めて、いま話しておいたほうがラクです。

Q. 片づけようとしたら、兄弟に反対されました。

まず、反対の中身を分けて聞いてみてください。
「物を減らすこと」に反対なのか、「自分に相談なく決められること」に反対なのか。私の見るかぎり、多いのは後者です。
後者なら、やり方でほどけます。

効くのは、この3つだと思います。
ひとつめは、親の言葉をそのまま共有すること。「私が決めた」ではなく「お父さんがこれは残すと言った」と伝えると、争点が消えます。
ふたつめは、写真を送ること。遠方の兄弟は現物を見ていないので、量が伝わっていないだけということがよくあります。
みっつめは、値がつきそうな物は、処分より先に査定に出して金額を共有すること。数字が一つあるだけで、感情の話から具体的な相談に変わります。

それでも折り合わないものは、「迷う箱」に入れて先送りで大丈夫です。
全部を今日決める必要はありません。
ただ、親御さんが元気なうちのほうが、話し合いはずっとしやすいとは思います。

まとめ

親が物を捨てられないのは、わがままではなく、その人の価値観です。
だからこそ、「捨てて」と正面からぶつかると、かえって片づきません。

この記事のまとめ

  • 切り出せないときは、親の物を主語にしないひと言から(自分の荷物・安全・通り道)。
  • 「捨てて」を封印し、残すものを選んでもらう声かけに変える。
  • 1日1か所・15分だけ。急がない・勝ち負けにしない。
  • 「もったいない」は、捨てる前に査定して成仏させる。
  • 遠方・大量で手に負えないときは不用品回収に。ただし許可の確認と、見積もり・作業日の立ち会いを忘れずに。
  • においや虫が出てきたら、家族で抱えずに自治体の窓口へ(相談は家族からでもできる)。
  • 判断力の低下が心配なら、地域包括支援センターへ相談を。

わが家も、最初は途方に暮れました。
でも、急かすのをやめて少しずつ進めたら、義父母も少しずつ手放せるようになりました。
同じ悩みのなかにいる方の、肩の力が少し抜けたら——そう願っています。

あわせて読みたい

※本記事は、筆者自身の体験と公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定の病名を判断するものではありません。介護・健康に関する判断は、地域包括支援センターや医療機関など専門の窓口にご相談ください。
参考にした公的資料:環境省 環境再生・資源循環局「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)/厚生労働省「地域包括支援センターについて」/消費者庁「消費者ホットライン188」/国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月2日公表)/中尾智博「強迫症または関連症群」日本精神神経学会『精神神経学雑誌』第123巻6号。
最終更新:2026年8月。

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この記事を書いた人:ロック

 高齢の親を含め、身近に高齢者が多い環境で生活しています。
 若い頃は東証プライム上場企業で経理職に従事し、生命保険の資格[上級生命保険設計士(現シニア・ライフ・コンサルタント)]も取得しました。
 その後、数十年にわたり雑貨の卸売業に携わり、品質・安全性・使いやすさの視点で商品を見てきました。
別事業として古物営業法に基づく古物商許可(公安委員会の許可)も保有し、中古品の売買・流通にも従事しています。
 2005年からは個人で株式投資を続けており、リーマンショックも何とか乗り切りました。いまは国内の高配当株と投資信託が中心で、新NISAも活用しています。
 家族の実体験と公的・医療情報を参考にしながら、高齢者の暮らしに役立つ情報を発信しています。
 ※医療行為の代替を目的とした情報ではありません。

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