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商売をしていた義父母(妻の両親)の家は、ひとことで言うと「物の山」でした。
1階と2階は事務所と倉庫、3階が住まい。そこに、何十年ぶんもの商売道具と家財、それに大量の着物が詰まっていました。
80代になり、大きな建物を持て余して、小さな家へ引っ越すことになりました。
でも、いざ片づけようとすると、これがまったく進まないのです。
「まだ使えるから」「もったいない」「勝手にさわるな」——。
そのたびに手が止まり、ときには言い合いにもなりました。高齢の義父母に代わって、私たち夫婦が中心になって判断するしかない。けれど、何から手をつければいいのか、本当に途方に暮れました。
同じように「親が物を捨てられない」「実家が片づかない」で悩んでいる方は、きっと多いはずです。
この記事では、わが家の体験と、ネット上に集まった同じ悩み約75件の集計をもとに、怒らせずに少しずつ進めるための声かけと、捨てる前のひと手間をまとめました。
※この記事は、親御さんが元気な「いま」の片づけの話です。親御さんが亡くなったあとの遺品整理や、家をどうするかの決断については、記事の最後でくわしい記事をご案内します。
親が物を捨てられないのは“わがまま”ではない|悩み約75件でわかった本当の理由
「どうしてこんなに捨てられないの?」
当時はそう思っていました。でも、これはわが家だけの話ではありません。
同じ悩みがネット上にどれくらいあるのか、Q&Aサイトに寄せられた相談を当サイトで集めて、内容ごとに分けてみました。
採用したのは「親が存命で、物を捨てられない・実家が片づかない」相談、約75件。多かった順に並べると、こうなりました。
「親が物を捨てられない」悩みの内訳(多い順)
※2026年6月、Yahoo!知恵袋の公開Q&Aから「親 物を捨てられない」「実家 物が多い 片付かない」など複数の語で寄せられた相談 約75件を抽出し、当サイトが手作業で内容を分類・集計した概算値です。件数は目安としてご覧ください。
いちばん多かったのは、②③のような「片づかない・怒られる」ではなく、①の「もったいない・まだ使える」でした。
ここが、わが家でも一番つまずいたところです。
物がない時代を生きてきた世代にとって、まだ使えるものを捨てるのは「悪いこと」なのだと思います。
つまり、親が物を捨てられないのは、わがままでも頑固でもなく、その人なりの大事にしてきた価値観なのですね。そう気づいてから、声のかけ方が少し変わりました。
「捨てて」と言うほど片づかない|わが家で効いた“怒らせない”声かけ

集計でも2番目に多かったのが「勝手に捨てると怒る」でした。
これは本当に、よくわかります。よかれと思って片づけると、かえってこじれるのです。
わが家で失敗したのは、まさに「捨てて」「いらないでしょ」と正面から言ったときでした。
言えば言うほど、義父母は身構えてしまう。手は止まる。空気は悪くなる。いいことが一つもありませんでした。
そこで、言い方を変えてみました。効いたのは、次のようなことです。
わが家で空気が変わった声かけ
- 「捨てる」を言わない。「どれをとっておく?」と、残すものを選んでもらう。
- 主語を自分にする。「私が困っていて」「手伝ってほしい」と頼る形にする。
- 1日1か所、15分だけ。引き出し一つ、棚一段。全部やろうとしない。
- その場で決めさせない。「迷う箱」を作って、保留してOKにする。
- 思い出話を急かさない。手が止まっても、それは整理が進んでいる時間。
ポイントは、こちらが「捨てさせる人」にならないことでした。
あくまで決めるのは親。私たちは手伝う係。そう割り切ると、不思議と少しずつ前に進みました。
急がせないこと、勝ち負けにしないこと。
これだけで、ずいぶんお互いにラクになりました。
捨てる前に“価値”を確かめる|「もったいない」を成仏させるひと手間
いちばん多い悩みだった「もったいない」。
これに、わが家で効いたのが「捨てる前に、いくらになるか見てもらう」でした。
私は新品の雑貨の卸売を長く続けるかたわら、それとは別に、古物商の許可を得て中古品を扱う仕事もしてきました。
そのせいか、「これは値がつく」「これはもう値がつかない」が、なんとなく見えます。
そして実際にやってみて分かったのは——親は「ゴミにされる」のは嫌でも、「価値を認めて引き取ってもらう」のは受け入れやすいということでした。
義父母の家からは、着物が山のように出てきました。
「全部捨てる」と言えば怒られたでしょう。でも「これは値打ちがあるか、見てもらおう」と言うと、すんなり手放してくれたのです。
もったいないが、ちゃんと“成仏”した感覚でした。
着物・骨董・古い道具などは、自分で価値を判断するのは難しいものです。
無理に値踏みせず、出張で見てくれる買取に査定だけ頼むのも一つの手です。値がつかなければ断ればいいだけなので、気軽に使えます。
捨てる前に、まず「いくらになるか」だけ確かめたい方へ。
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大量の着物が出てきたときの体験や、価値の確かめ方は 実家を売ったら大量の着物が出てきた話 にくわしくまとめています。あわせてどうぞ。
親が元気なうちに少しずつ|“生前整理”は片づけより「気持ちの整理」

こうした片づけは、最近「生前整理」と呼ばれます。
言葉だけ聞くと身構えてしまいますが、要は「元気なうちに、本人と一緒に少しずつ片づけておく」こと。それだけです。
やってみて実感したのは、生前整理は「物の整理」というより「気持ちの整理」だということでした。
一つひとつ手に取りながら、「これは○○のときに買ったね」と話す。その時間そのものに、意味がありました。
進め方に正解はありませんが、つまずきにくい順番はあります。
迷いにくい「生前整理」の進め方
- 迷わないものから。明らかなゴミ・期限切れ・壊れた物から手をつける。
- 思い出の品は後回し。写真・手紙・着物は最後でいい。ここで止まると全部止まる。
- 「とりあえず保留」を許す。決めきれない物は箱に入れて、また今度。
- 区切りを作る。「今日はここまで」と早めに切り上げ、疲れる前にやめる。
急がないこと。終わらせようとしないこと。
「片づける」ではなく「一緒に振り返る」くらいの気持ちのほうが、結局うまくいきました。
なお、片づけの途中で「最近、物のしまい場所が極端に分からなくなった」「郵便物まで失くす・捨ててしまう」といった変化に気づくこともあります。
判断力の低下が心配なときは、無理に一人で抱えず、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。介護や物忘れの相談ができる、公的な窓口です。
遠くて手が回らない・量が多すぎるときは
集計でも一定数あったのが、「実家が遠い」「量が多すぎて、家族だけでは無理」という悩みでした。
これは、気持ちや声かけでどうにかなる話ではありません。
わが家も、商売道具と家財の量は、夫婦だけではとても運び切れませんでした。
こういうときは、無理をせずに不用品回収を頼むのが現実的です。値がつくものは買取で、残りはまとめて回収。そう割り切ると、一気に前へ進みます。
量が多い・遠方で通えない・自分たちでは運べない、というときに。
不用品をまとめて処分・見積もりを取る(ECOクリーン)▶※対応エリア・料金はリンク先でご確認ください。複数社で見積もりを比べると安心です。
業者選びで失敗したくない方は、不用品回収業者おすすめ3社を比較した記事 も参考になります。料金や追加費用の見方をまとめています。
わが家が実際に進めた順番
最後に、義父母の家を片づけたときに、わが家が実際にたどった順番を書いておきます。
正解ではありませんが、迷ったときの目安にはなると思います。
- まず「捨てて」を封印。残すものを選んでもらう声かけに切り替えた。
- 迷わないゴミから処分。家が少し片づくと、本人もやる気が出た。
- 着物・道具は査定へ。値打ちを見てもらい、「もったいない」を成仏させた。
- 思い出の品は最後に、一緒に。写真や手紙は急がず振り返りながら。
- 残った大量の家財は不用品回収で。夫婦では運べない分はまとめて依頼。
振り返ると、最初に「捨てて」と言うのをやめたのが、いちばん効きました。
順番より、何より、親を急かさないこと。それに尽きると思います。
よくある質問
Q. 一人っ子で、実家の片づけを全部一人で背負っています。どうすれば?
全部を自分でやろうとしないことです。
値がつくものは買取に、量が多い部分は不用品回収に。お金で解決できるところは外に出して、自分は「親と話しながら決める」役に専念する。そう分けると、ぐっと負担が減ります。
Q. 親に判断力の低下が見られます。片づけを進めて大丈夫?
本人が混乱しているときに無理に進めると、かえって不安にさせてしまいます。
物忘れや判断力の低下が気になるときは、まず地域包括支援センターに相談を。介護や生活の支援につながることもあります。片づけは、その上で少しずつで大丈夫です。
Q. 片づけ中に怒らせてしまいました。どうフォローすれば?
その日は、いったん引くのがいちばんです。
「ごめん、急ぎすぎたね」と一言だけ。後日また、残すものを選んでもらう形で再開すれば大丈夫。片づけは何日かけてもいいものです。勝ち負けにしないことが、結局いちばんの近道でした。
まとめ
親が物を捨てられないのは、わがままではなく、その人の価値観です。
だからこそ、「捨てて」と正面からぶつかると、かえって片づきません。
この記事のまとめ
- 「捨てて」を封印し、残すものを選んでもらう声かけに変える。
- 1日1か所・15分だけ。急がない・勝ち負けにしない。
- 「もったいない」は、捨てる前に査定して成仏させる。
- 遠方・大量で手に負えないときは、不用品回収に頼る。
- 判断力の低下が心配なら、地域包括支援センターへ相談を。
わが家も、最初は途方に暮れました。
でも、急かすのをやめて少しずつ進めたら、義父母も少しずつ手放せるようになりました。
同じ悩みのなかにいる方の、肩の力が少し抜けたら——そう願っています。
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※本記事は、筆者自身の体験と公開情報をもとにした一般的な情報提供です。介護・健康に関する判断は、地域包括支援センターや専門の窓口にご相談ください。最終更新:2026年6月。

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