※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

先に結論:30秒で分かるまとめ
片づけの手を止めて調べている方へ。まずはこれだけ。
理由とくわしい手順は、このあと順にご説明します。
義父母の家を片づけていたとき、引き出しの奥から古い保険証券が出てきました。日付を見ると、30年以上前のもの。
「もう古いし、解約したほうがいいんじゃない?」
家族からはそんな声も出ました。でも、ちょっと待ってください。その“古い保険”、実は手放してはいけない「お宝保険」かもしれません。
この記事を書いている私は、若い頃に生命保険の資格[上級生命保険設計士(現シニア・ライフ・コンサルタント)]を取り、予定利率が年6%前後もあった時代に養老保険を扱っていました。
現在は保険の販売はしておりませんが、その知識と、高齢の義父母の保険を家族として整理した実体験をもとに、親の古い保険を「捨てる前に確かめる」方法をお伝えします。
お宝保険とは?いつ頃入った保険が「お宝」なのか
お宝保険とは、予定利率がとても高かった時代に契約した、貯蓄性のある保険のことです。終身保険・養老保険・個人年金保険などが当てはまります。
「予定利率」とは、かんたんに言えば保険会社が「このくらいで増やします」と約束した利回りのことです。銀行の金利に近いイメージですが、払った保険料の全額にそのままかかるわけではありません(保障などの費用を引いた部分に適用されます)。それでも、今の超低金利とは比べものにならない条件です。大事なのは、原則として契約したときの利率が、その契約が続くかぎりずっと適用されることです。
では、いつ頃の契約が「お宝」なのか。目安はおおむね1996年(平成8年)以前です。当時の予定利率を見てみましょう。
| 契約した時期 | 主な予定利率 |
|---|---|
| 1990年4月〜1993年3月 | 5.50% |
| 1993年4月〜1994年3月 | 4.75% |
| 1994年4月〜1996年3月 | 3.75% |
| 1996年4月〜1999年3月 | 2.75% |
| 1999年4月〜2001年3月 | 2.00% |
| 2001年4月〜 | 1.50% |
出典:ニッセイ基礎研究所編『生命保険の知識』掲載の予定利率(保険市場コラムより)。さらにさかのぼる1985〜1993年頃は、保険期間20年超で5.5%と非常に高い水準でした(第一ネオ生命の解説)。※利率は保険期間や商品によって異なります。ご自身の契約は保険会社にご確認ください。
同じ「保険」でも、利率はこんなに違います
棒の長さが、そのままお金の増えやすさの違いです。
では、実際いくら違うのか
たとえば100万円を20年間、それぞれの利率で回したとすると──
その差、およそ157万円。
※これは利率の違いを実感していただくための単純な複利計算で、保険の受取額ではありません。実際の保険では保障などの費用が差し引かれるため、この通りにはなりません。それでも、利率の差が長い年月でどれだけ大きくなるかのイメージはつかんでいただけると思います。
表のとおり、1996年を境に利率は一気に下がり、その後も低下が続きました。同じ「保険」という名前でも、当時と今とでは中身はまったくの別物です。私が保険を扱っていた頃は、この高い利率の養老保険がごく普通に売られていました。当時の契約が今も生きているなら、それは低金利の今では二度と手に入らない条件です。
お宝保険の見分け方:3つのチェックポイント

この3つを見れば、お宝保険かどうかわかります
ご自分で調べられるのは1と2まで。3は電話1本で確認できます。
① 保険証券の「契約日」を見る
まず保険証券を探して、契約日を確認します。1996年(平成8年)以前なら、お宝保険の可能性ありです。特に1980年代後半〜1990年代前半なら期待大です。
② 保険の「種類」を見る
お宝になるのは、お金が貯まるタイプの保険だけです。
- 対象になる:終身保険・養老保険・個人年金保険など(貯蓄型)
- 対象にならない:掛け捨ての定期保険、医療保険・がん保険など(保障型)
③ 「予定利率」を保険会社に聞く
肝心の予定利率は、保険証券に書かれていないことが多いです。そんなときは、保険会社のコールセンターに契約者本人から電話して「この契約の予定利率を教えてください」と聞くのが確実です。証券番号を手元に用意しておくとスムーズです。
ひとつ注意があります。過去に「転換」や「見直し」の手続きをしていると、契約日が古くても利率が今の低いものに変わっている場合があります。だからこそ、電話での確認が確実なのです。
「親が高齢で、電話でのやり取りが難しい」という場合もあると思います。うちもそうでした。そんなときは、親御さんに同席してもらい、本人に名乗ってもらったうえで、続きを子どもが代わって聞くのがいちばん確実です。保険会社によっては、委任状での対応や、家族が問い合わせできる登録制度を用意していることもあります。「本人が電話するのが難しいのですが」と正直に伝えれば、どうすればよいか案内してもらえます。
「見直しませんか」と言われても、その場で決めない

古い保険を持っていると、「新しい保障に切り替えませんか」「今の医療保障もついてお得ですよ」という見直し(転換)の提案を受けることがあります。
ここで知っておいてほしいのは、転換とは今の契約を“下取り”に出して、新しい契約に入り直す仕組みだということ。下取りに出した時点で、昔の高い予定利率は消え、新しい契約には今の低い利率が適用されます。
「転換」をすると、何が起きるのか
一度手放すと、もとの利率には戻せません。
実際、検索エンジンでは今も「お宝保険 解約させられた」という言葉が数多く検索されています。切り替えたあとで「昔の高い利率が消えてしまったことを知らなかった」と後悔した人が、それだけ多いということです。
もちろん、見直しがすべて悪いわけではありません。保障の内容が今の暮らしに合っていない、まとまったお金がどうしても必要──そんなときは、解約や減額が合理的なこともあります。
大切なのはひとつだけ。その場で決めないこと。予定利率を確認し、家族に話し、必要なら販売側と利害関係のない専門家に相談してから決めても、遅くはありません。
もし、すでに解約や見直しをしてしまったら
「読むのが遅かった」と思われた方へ。状況によっては、まだ打つ手があります。
大切なのは、残っている契約について同じことを繰り返さないことです。ご家族に他の古い契約があれば、この記事の手順で確認してみてください。
親の保険が「わからない」「入ってないかも」というときの調べ方


うちの親、どんな保険に入っているのか聞いてもあいまいで……。そもそも証券がどこにあるかも分からないんだ。
よく分かります。うちも義父母の保険を整理するとき、まず「何に入っているのか」を知るところからでした。手がかりは家の中にあります。
- 保険証券:引き出し・書類箱・仏壇まわり・金庫が定番の保管場所
- 通帳の引き落とし:「◯◯生命」「◯◯共済」などの記録がないか
- 生命保険料控除証明書:毎年10月〜11月頃に保険会社から届くハガキ・封書
- 保険会社のカレンダーやタオル:営業担当からの粗品は加入のヒント
それでも分からないときの最後の手段が、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」です。親が亡くなったとき、または認知判断能力が低下したときに、どの保険会社に契約があるかを一括で照会できます。利用料は照会対象1名につきWEB申請6,000円・書面申請7,000円です(2026年7月現在)。詳しくは生命保険協会の公式ページと政府広報オンラインの解説をご覧ください。
ただ、いちばん確実なのは、親が元気なうちに聞いておくことです。「万一のとき困らないように、保険の一覧だけ作っておこうよ」と、エンディングノートづくりの一環として切り出すと角が立ちません。
【実体験】うちの義父母は「毎年贈与できる保険」を選んだ

ここからは、わが家の実体験です。義父母は高齢になり、住んでいた家を手放す決断をしました。売却でまとまったお金ができたとき、義父母が望んだのは「元気なうちに、子や孫に少しずつ渡したい」ということでした。
私が最初に提案したのは、保険ではありませんでした。手数料の安い運用(債券や投資信託)でお金を持ちながら、毎年110万円ずつ現金で贈与していく方法。数字の上では、これがいちばん合理的だからです。
でも、義父母の答えはこうでした。
「難しいことは、もう考えたくない」
「毎年の手続きを、間違えずに続けられる自信がない」

数字の損得だけなら運用に分がある。でも「迷わず、間違えず、続けられる」ことも、高齢の親にとっては大きな価値なんですよね。
また、現金の贈与は毎年のたびに本人の意思確認と手続きが欠かせません。年を重ねるほどそれ自体が負担になっていくことも、義父母が「自動で続く仕組み」に傾いた理由のひとつでした。
結局、義父母が選んだのは生存給付金付きの終身保険(いわゆる「生前贈与機能付き保険」)でした。一度まとまった保険料を払い込むと、毎年決まった時期に、あらかじめ指定した子や孫の口座へ年110万円を上限とする給付金が自動的に振り込まれる仕組みです。義父母の契約では、受け取る人ごとに年110万円以内へ収まるように上限を設定しました。毎年の面倒な手続きがほとんどいらないことが、義父母には決め手でした。
この保険の「正直な注意点」
ただし、良いことばかりではありません。私が契約資料を読み込んで確認した、正直な注意点も書いておきます。
- 元本保証ではない:これは預金ではなく保険です。預金保険制度の対象にもなりません
- 早く解約すると損をしやすい:多くの商品では、決められた期間より早くやめると解約控除(早くやめた人が差し引かれるお金)がかかります。義父母の商品では契約から10年未満が対象でした。世の中の金利の動きにも左右されるため、払い込んだ額を下回ることがあります
- 給付金は毎年同額とは限らない:その年の利率などで決まり、上限額を下回る年もあり得ます
- 外貨建てを選ぶと為替リスクが加わる:円建てか外貨建てかで性格が大きく変わります(義父母は、給付金を円で受け取る契約にしました)
- 受け取る側の認識も大切:税務上「毎年の贈与があった」と認められるためには、受け取る側がそれを認識していること(意思の合致)などが重要とされています。契約前に家族で共有し、詳しくは税理士に確認を
つまりこの保険は、お金を「増やす」商品ではなく、「渡す手間と間違いを保険会社に任せる」商品です。運用と比べてどちらが正解、ということではありません。義父母が買ったのは利回りではなく、「迷わず続けられる安心」でした。ご家庭の事情に合わせて考えてみてください。
ふり返ると、義父母が入ったのは銀行の窓口ですすめられた商品でした。窓口はその会社が扱う商品しか案内できませんから、いくつかの保険会社の商品を比べてから決めてもよかったと、今は感じています。無料で相談できる窓口もあります。話を聞いてみて、その場では決めずにいったん持ち帰って家族で考える——この順番なら、後悔は少なくなるはずです。
保険とお金の受け渡しにかかる税金の基本
お金や保険で家族に財産を渡すとき、最低限おさえておきたい税金の基本は3つです。
① 年110万円までの贈与は非課税
贈与税には基礎控除があり、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った財産の合計が、受け取る人1人あたり年110万円までなら贈与税はかかりません。この非課税枠を使った贈与の仕組みを「暦年課税(れきねんかぜい)」と呼びます。詳しくは国税庁タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」をご覧ください。
② 亡くなる前の贈与は、相続税に「足し戻される」ことがある
相続や遺贈で財産を受け取る人が、亡くなる前の一定期間内に受けていた贈与は、相続税の計算に加算されます。この期間はこれまで3年でしたが、税制改正により段階的に延長されており、2024年1月1日以降に受けた贈与は、将来的に最長7年分(2031年以降に発生する相続から完全適用)が加算の対象になります。一方、相続や遺言で財産を受け取らない孫への贈与は、原則としてこの加算の対象外とされています。
ただし、ここに大きな落とし穴があります。この記事で紹介したような生存給付金付きの保険で、孫が「死亡保険金の受取人」にもなっている場合、その孫は財産を受け取る人にあたるため、加算の対象になります。ほかにも、遺言で財産を受け取る場合や、代襲相続人になっている場合も対象です。
つまり「孫にあげれば必ず安全」とは限りません。契約の形によって扱いが変わりますので、実際に使うときは必ず税理士や保険会社にご確認ください。詳しくは国税庁タックスアンサー No.4161で確認できます。
③ 保険は「誰が払い、誰が受け取るか」で税金が変わる
同じ保険金でも、保険料を負担した人と受け取る人の組み合わせによって、かかる税金は贈与税・相続税・所得税と変わります。古い保険を受け取る前・解約する前には、この点も確認しておくと安心です。
税金の正確な計算やご自身のケースへの当てはめは、必ず税理士または税務署にご相談ください。この記事は制度の概要をお伝えするものです。
まとめ:親の保険は「捨てる」前に「調べる」
最後に、この記事の要点をまとめます。印刷して、親御さんと一緒に確認しても構いません。
親の保険 確認チェックシート
親の古い保険は、家族がコツコツ払い続けてきた歴史そのものです。「古いから」と片づけてしまう前に、一度だけ中身を確かめてみてください。それが、思わぬ「お宝」を守ることにつながるかもしれません。

