※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

引き出しの奥から出てきた、父の腕時計。
止まったままの針を見て、手が止まってしまった——。
使ってもいいのだろうか。
売るなんて、薄情だろうか。
それとも、このまましまっておくのが正解なのか。
形見の時計は、金額の大小にかかわらず、こういう迷いを連れてきますよね。
先にお伝えします。
形見の時計に「こうしなければならない」という決まりはありません。
使っても、直しても、形を変えても、手放しても、どれも間違いではありません。
ただし、ひとつだけ。
ロレックスのようなブランド時計や高価な品は、「気持ちの問題」と「お金の問題」の両方を同時に抱えています。
そこを知らずに動くと、あとで家族の間がぎくしゃくすることがあります。
この記事では、形見の時計をめぐる4つの道(使う・直す・リメイク・手放す)と、動く前に知っておきたいお金の決まりごとを、この夏に伯父を見送り、その後の集まりで伯父の腕時計の話に立ち会った私自身の目線でまとめました。
なお、私は法律や税務の専門家ではありません。
だからこそ、この記事の決まりごとは、国税庁・法令・消費者庁の資料を一つずつ確認して書いています。
個別のご事情(相続税がかかるか、相続放棄ができるか)は、記事ではなく専門家にご確認ください。
一方で、買取や査定の章は、新品の雑貨卸売のかたわら、別に古物商の許可を得て中古品を扱ってきた立場から書いています。
この記事の30秒まとめ
- 形見の時計を使う・身につけるのに、決まりや作法はない。「縁起」も気持ちの問題で、正解はあなたの中にある
- 止まった時計は、電池交換や分解掃除(オーバーホール)で動くことが多い。まず時計店に見てもらう
- サイズが合わない・使わないなら、ベルト交換やリメイクという道もある。ただし高価な時計は「先に査定、あとで加工」の順番で(加工すると正規修理や売却で不利になることがある)
- ブランド時計など高価な形見は「相続財産」。形見分けの前に、きょうだいへ一言。相続放棄を考えている人は、受け取る前に専門家へ
- 手放すと決めたら、突然来る訪問買取(押し買い)には応じない。ブランド時計は時計専門店へ、それ以外は全国対応の総合買取へ。値がつかず手元にも置きたくないなら「供養して手放す」道もある
形見の時計は使ってもいい?——決まりはありません。むしろ、いちばん自然な供養かもしれない

「形見の時計を身につけるのは、失礼にならないだろうか」
「亡くなった人の物を使うと、良くないことが起きると聞いた」
そんな不安を持つ方は、少なくありません。
先に結論です。
形見の時計を使うことに、決まりも作法もありません。
「こうすべき」と定めた宗教上・法律上のルールはなく、縁起の良し悪しも、人によって受け止め方が違う「気持ちの問題」です。
むしろ、時計は「使ってこそ生きる道具」です。
ベルトを自分の手首に合わせて替え、毎日ねじを巻き、電池を替えながら使い続ける。
それは、亡くなった人の時間を自分の時間につなぐ、いちばん自然な供養のかたちだと私は思います。
実際、父親の形見の腕時計をベルトだけ替えて使っている、という方の話は、インターネットの相談サイトにも数多く見つかります。
値段の高い安いは関係ありません。
三千円の時計でも、思い出があれば値段はつけられない——そう書いている方もいました。

でも、男性用の大きな時計だと、女性の私にはどうしても合わなくて…

そういうときは、次の「直す」「リメイク」の章に道があります。それに、しまっておくのも立派な選択ですよ
「使うのが怖い」と感じるなら、無理に使わなくていい
一方で、亡くなった直後は、時計を見るだけでつらいという方もいます。
そういうときは、無理に使わなくて大丈夫です。
きれいな布に包んで、引き出しにしまっておく。
それも、立派な「形見の持ち方」のひとつです。
気持ちが落ち着いてから、改めて手に取ればいい。
形見の時計に、期限はありません。
動かない形見の時計は直せる?——止まっているのは「壊れた」とは限らない

形見の時計は、たいてい止まっています。
長いこと引き出しの中にあったのですから、当然です。
でも「止まっている=壊れている」ではありません。
時計の止まる理由は、大きく3つです。
🕰 止まった時計、よくある3つの理由
- 電池切れ(クォーツ式)——電池交換で動くことが多い。ただし長期間放置した電池は液漏れの点検も
- 油切れ・汚れ(機械式)——分解掃除(オーバーホール)で息を吹き返すことが多い
- 部品の摩耗・破損——部品交換が必要。古い時計は部品の有無で費用が変わる
特に、ねじを巻いて動かす機械式の時計は、油が固まって止まっているだけ、ということがよくあります。
何十年も前の時計でも、分解掃除で動き出す例は珍しくありません。
時計修理店の多くが「古い時計でも直せることのほうが多い」と案内しているのは、そのためです。
修理費は「時計の種類」で幅がある。まず見積もりを
費用は、電池交換なら千円台から、機械式のオーバーホールなら数万円、ブランド時計や部品交換ありならそれ以上、と幅があります。
ここで金額を断定するのは避けます。
時計の状態と種類で、本当に変わるからです。
大事なのは、直す前に見積もりを取ること。
そして、「時計の値段より修理費が高くなるかもしれないが、それでも直したいか」を、自分に一度聞いてみることです。
直す価値は、値段ではなく気持ちで決めていい。
三千円の時計に一万円かけて直したっていいのです。
ただ、あとで「こんなにかかるとは思わなかった」とならないように、数字だけは先に見ておいてください。
ブランド時計は「正規」と「一般修理店」の2つの道
ロレックスやオメガのようなブランド時計は、メーカーの正規サービスに出す道と、街の時計修理店に出す道があります。
正規は安心感があり、修理店は費用を抑えやすい、というのが一般的な傾向です。
どちらが正しいということはなく、これも「その時計をどうしたいか」で選んで構いません。
ひとつだけ、覚えておいてほしいこと。
あとで手放す可能性が少しでもあるなら、大がかりな修理や部品交換の前に、一度査定に出してください。
手を入れる前のほうが価値が高い、ということが、古い時計にはあるからです。
使わないなら、リメイクという道もある——ただし「先に査定、あとで加工」

「父の時計は大きすぎて、私の手首には合わない」
「母の華奢な時計は、息子には似合わない」
形見の時計でいちばん多い悩みは、じつはこれかもしれません。
そんなときの道が、リメイクです。
🔧 形見の時計、リメイクの例
- ベルト交換——いちばん手軽。革ベルトを細めに替えるだけで、印象がやわらぐ
- ケースサイズはそのまま、文字盤や針だけ手入れ——見た目を整えて使いやすく
- 懐中時計・ペンダントへの作り替え——時計の心臓部(ムーブメント)を別のケースに移す
- 動かない時計を、文字盤ごと小さな額やアクセサリーに——「動かなくてもそばに置く」形
ベルト交換なら、街の時計店ですぐできます。
作り替えは、時計のリメイクを専門にしている工房や、修理店に相談する形になります。
探し方は、「時計 リメイク」「時計 ペンダント 加工」で検索するか、いつもの時計店に「こういうことをしたい」と相談して紹介してもらうのが早いです。
費用はベルト交換なら比較的手軽ですが、作り替えは時計の種類と仕上げでかなり幅があるので、ここも見積もりを2つほど取って比べてください。
高価な時計ほど、加工の前に「価値」を確かめて
ここでも、順番を間違えないでほしいのです。
ブランド時計や古い時計は、手を加えると価値が下がることがあります。
「元の状態」に価値がつく世界だからです。
ですから、リメイクは「先に査定、あとで加工」。
いくらの価値があるかを知ったうえで、それでも形を変えたいなら、それはもう気持ちの問題です。
知らずに加工して、あとで「あれは高い時計だった」と分かるのだけは、避けてほしい。
特にブランド時計は、部品を替えたり別のケースに移したりすると、メーカーの正規修理を受けられなくなったり、将来売るときに「改造品」として値がつきにくくなったりすることがあります。
一度手を入れると、元の状態や価値には戻せません。
そこを分かったうえで選ぶなら、リメイクは形見を「使い続ける」ためのいい方法です。
これは、実家から出てきた着物を手放したときにも痛感したことでした。
十数枚のうち値がついたのは一枚だけ。
その一枚を、知らずに処分していたら——。
詳しくは着物の断捨離の記録に書いています。
伯父のロレックス——「売るか、長男が受け取るか」で、話が出た

ここからは、私自身の話を少しだけ。
この夏、母方の伯父を見送りました。
78歳でした。
田舎の本家でしたから、それなりに大きな葬儀で、私は通夜から甥として参列しました。
その葬儀のあと、親族が集まった席で出たのが、伯父がしていたロレックスの腕時計の話です。
「あれ、どうする」
「売るのか」
「いや、長男が持つのが筋だろう」
売るか、伯父の長男——私の従兄——が受け取るか。
その二択で、話が行ったり来たりしました。
どちらに落ち着いたかは、ここでは書きません。
ただ、その場に居合わせて、はっきり分かったことがあります。
形見の時計は、「気持ち」だけの話では終わらない。
ロレックス一本の値段は、人によっては車が買える金額です。
それを誰が持つかは、思い出の話であると同時に、財産をどう分けるかの話でもあるのです。
そして、その場で誰も「相場」を知りませんでした。
いくらの物の話をしているのかが分からないまま、気持ちと筋論だけで話が進む。
だから、なんとなく居心地が悪かったのだと思います。
もし、誰かひとりでも「一度、値段だけ見てもらおうか」と言えていたら。
話は、もっと穏やかに進んだかもしれません。

お金の話を持ち出すと、なんだか卑しい感じがして言いにくいんですよね…

分かります。でも「値段を知る」のと「売る」のは別です。知ったうえで長男が受け取る、でもいい。数字は、話をこじらせることもあれば、落ち着かせることもある。少なくとも「知らないまま決める」よりは、あとで揉めにくいと私は思います
形見分けの前に知っておきたい「お金」の話——高価な時計は相続財産です

形見分けというと、「思い出の品を親しい人に分けること」というやわらかい響きがあります。
ですが、高価な時計や宝石は、法律や税金の上では「相続財産」です。
国税庁は、相続税がかかる財産を「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」としています。
その例として、現金や預貯金、土地や家屋と並んで「宝石」も挙げられています。
市場で値がつくブランド時計も、同じ理屈で「経済的価値のあるもの」として相続税の計算に含まれることがあります。
ただ、ここで不安になりすぎないでください。
国税庁の説明では、正味の遺産額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に相続税がかかり、申告と納税が必要になるとされています(国税庁 No.4102)。
たとえば相続人が3人なら4,800万円。
家全体の財産がこの額に収まるお宅では、時計一本のために相続税を心配する必要は、まずありません。
逆にこの額を超えそうなら、時計も財産のひとつとして数える必要が出てきます。
境目に近い場合の判断は、専門家に確認してください。
これは税金の話ですが、もうひとつ「分け方」の話もあります。
高価な形見は「もらった・あげた」で済む話ではなく、遺産をどう分けるか(遺産分割)の一部として扱われうる、ということです。
相続税がかかるかどうかは家全体の財産額しだいですが、少なくとも「誰が受け取ったか」は、他の相続人にとって無関係ではありません。
きょうだいへの一言が、あとのわだかまりを防ぐ
難しく考えなくて大丈夫です。
やることは、ひとつだけ。
時計を持ち帰る前、売る前に、きょうだいに一言伝える。
「父さんの時計、私が預かっておいていい?」
「一度、値段だけ見てもらってもいい?」
この一言があるかないかで、あとの空気がまるで違います。
写真を一枚送っておくのも効きます。
「相談されなかった」という気持ちは、時計そのものより、ずっと長く残るからです。
これは、着物を手放したときにも実感したことでした。
そして、親のことをきょうだいで分担する場面全般に言えることでもあります。
兄弟の温度差については別の記事にまとめました。
相続放棄を考えている人は、受け取る前に一度立ち止まって
ひとつ、大事な注意があります。
亡くなった方に借金があるなどの理由で「相続放棄」を考えている場合です。
民法には、相続人が「相続財産の全部又は一部を処分したとき」は、相続を単純承認したものとみなす、という決まりがあります(民法第921条第1号)。
簡単に言うと、遺産を売ったり、自分のものにしたりすると、相続を認めたことになって放棄ができなくなるおそれがある、ということです。
一般に、経済的な価値のほとんどない思い出の品を受け取ることは「処分」に当たらないとされる一方、高価な時計や貴金属を形見分けとして自分のものにしたり、売ったりすると「処分」とみなされて放棄が認められなくなる可能性が指摘されています。
どこからが「高価」かの線引きは、個別の事情によります。
なお、「捨てられないように一時的に預かっておく」のと「自分のものとして受け取る」のとでは扱いが変わりうるとされていますが、その境目も事情しだいです。
ですから、相続放棄を考えているなら、形見の時計を受け取る前・売る前に、弁護士や司法書士、自治体の無料法律相談などで確認してください。
「先にもらってしまった」あとでは、取り返しがつかないことがあります。
手放すと決めたら|形見の時計を売るときに気をつけたい3つのこと

使わない。
直しても、リメイクしても、たぶん引き出しに戻る。
それなら、値打ちの分かる人の手に渡ったほうが、時計も喜ぶかもしれない——。
そう思えたなら、手放すのも立派な選択です。
薄情ではありません。
ただ、形見の時計を売るときには、気をつけたいことが3つあります。
① 突然やって来る「訪問買取」には応じない
「近くまで来たので、古い時計や貴金属があれば見せてください」
そう言って家に来る業者がいます。
いわゆる「押し買い」です。
消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問購入」によれば、こちらが頼んでもいないのに、業者が自宅に来て買取の勧誘をすること(不招請勧誘)は、法律で禁止されています。
また、査定だけ頼んだ場合に、査定を超えて「売ってください」と勧誘することも法に触れる、と明記されています。
それでも契約してしまったら、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面などでクーリング・オフ(契約の解除)ができます。
さらにその8日の間は、品物を渡すのを拒むこともできる、と定められています。
形見の時計を、その場の勢いで手放してはいけません。
売るなら、こちらから選んだ先に、こちらのタイミングで。
② ブランド時計は、時計専門店に見てもらう
ロレックス、オメガ、グランドセイコー、カルティエ——。
こうしたブランド時計は相場の動きが大きく、なんでも扱う総合買取より、時計を専門に扱う店のほうが値段がつきやすい品目です。
最近は、宅配で査定してもらえる時計専門店もあります。
家に人を上げなくていい、自分のペースで送れる、というのは、形見を手放す気持ちの整理にも合っているように思います。
ブランド時計は、時計専門店に見てもらう
「時計買取.biz」(運営=株式会社ユニバーサルバリュー・東京都台東区上野/古物商 東京都公安委員会 第301031206544号)は、時計専門の宅配買取です。申し込むと宅配キットが届き、時計を入れて送り返すだけで査定してもらえます。査定額に納得できなければ返送料も業者負担、電池切れや故障でもマイナス査定にはしない、と公式サイトに明記されています(2026年8月確認)。
時計買取.bizの宅配査定を見る※見込み金額が5万円以下の時計は宅配査定の対象外と公式のよくある質問に明記されています。ロレックス・オメガなど「ブランド物らしき時計が出てきた」ときの選択肢です。
正直に書いておきます。
この店は「見込み金額が5万円以下の時計は宅配査定を断る」と公式のよくある質問に書いています。
ですから、形見の時計を何でも送る先ではなく、「ブランド物らしき時計が出てきた」ときの選択肢と考えてください。
また、宅配買取では申込時に本人確認書類が必要になるのが一般的です。
買取店には古物営業法で本人確認が義務づけられているためで、怪しい手続きではありません。
逆に、本人確認をせずに買い取ろうとする業者のほうを警戒してください。
🔍 古物商の目線で|形見の時計を売る前の3つの確認
- 1社で決めない——ブランド時計は店によって金額の開きが大きい品目。査定は無料が多いので、2〜3社に見てもらってから決める
- 本人確認と古物商許可の表示——きちんとした店ほど、身分証の確認と許可番号の表示がある。無い店は避ける
- 査定の明細と買取の書面——「いくらで、何を、いつ」が書かれた控えをもらう。あとで「言った・言わない」にならないために
③ ブランド品でない時計、時計以外の形見は、まとめて総合買取へ
時計はブランド物ではない。
でも、時計のほかにも、指輪や帯留め、カメラや万年筆——形見はいろいろ出てくる。
そういうときは、品目を問わず見てくれる総合買取のほうが向いています。
出張で来てもらうか、宅配で送るかは、好みで選んで大丈夫です。
家に上がってもらう場合の注意点は、出張買取についてまとめた記事で詳しく書いています。
ブランド品ではない時計や、時計以外の形見もまとめて見てほしい方へ。公式サイトのよくある質問に、出張査定・宅配査定のどちらも日本全国に対応していると明記している総合買取店もあります。
全国対応の無料査定を申し込む(ベスト買取)▶※査定料・出張費・宅配の送料は無料、金額が合わないときのキャンセル費用もかからないと公式サイトに記載されています(2026年8月確認)。値がつかなかった品の返却条件は申込時にご確認ください。
なお、査定を頼む前に、時計を磨いたり分解したりしなくて大丈夫です。
止まったままで、傷もそのままで、出してください。
手を加えるほうが、かえって値段を下げることがあります。
値もつかず、手元にも置きたくないとき|供養・お焚き上げという道
最後に、もうひとつの道を。
査定に出しても値がつかなかった。
使わないし、直すほどでもない。
けれど、ゴミ袋に入れるのは、どうしてもできない——。
そういうときは、「供養してから手放す」という形があります。
神社やお寺の「お焚き上げ」に持ち込む、あるいは箱に詰めて送るだけで供養してくれる郵送のサービスを使う。
時計のように燃えない物でも受け付けているところがあります(受け付ける品目や料金は先によく確認してください)。
「捨てた」ではなく「送り出した」と思えるだけで、気持ちの重さはずいぶん違います。
供養までは要らない、と思えるなら、自治体のルールに従って処分して構いません。
時計は自治体によって分別が違い、電池は抜いて別回収になることが多いので、お住まいの自治体の案内を確認してください。
それも、間違いではありません。
形見の時計に「バチ」はありません。
あるのは、あなたがどう送り出したいか、だけです。
それでも迷うときは、急がなくていい

ここまで4つの道を並べてきましたが、最後に、いちばん大事なことを。
決めなくていい。
今日決められないなら、決めなくていいのです。
形見の時計は、遺品整理の中でも、いちばん「気持ち」が乗っている品のひとつです。
家財のように「とりあえず片づけなければ」というものではありません。
きれいな箱に入れて、しばらくしまっておく。
それで困ることは、何もありません。
ただ、ひとつだけ守ってほしいのは、「きょうだいへの一言」と、「相続放棄を考えているなら受け取る前に相談」の2つ。
ここだけは、時間が経つほど戻れなくなる部分だからです。
それさえ済ませておけば、使うか、直すか、形を変えるか、手放すか——。
答えは、時間が連れてきてくれます。

なんだか、少し肩の力が抜けました。しまっておくのも「あり」なんですね

ええ。時計は待ってくれます。急かしてくるのは、たいてい時計以外のものですから
遺品整理全体の進め方や、業者に頼む場合の費用の目安は、親の遺品整理の記事にまとめています。
親がまだ元気で、物を捨てられずに困っている段階なら、実家の片付けの記録のほうが近いかもしれません。
よくある質問
Q1. 形見の時計を身につけるのは、失礼にあたりますか
失礼にはあたりません。
形見の時計を使うことについて、宗教上・法律上の決まりはなく、むしろ「使って偲ぶ」のは昔からある自然な形です。
気になるなら、身近な親族に「使わせてもらうね」と一言伝えておくと、気持ちよく使えます。
Q2. 止まった時計は縁起が悪いと聞きました。本当ですか
「止まった時計は縁起が悪い」という言い伝えを耳にすることはありますが、決まりではなく、人によって受け止め方が違うものです。
気になるなら、電池交換や分解掃除で動かしてから使う、という道があります。
気にならないなら、止まったまま飾っておいても構いません。
大事なのは、あなた自身が心地よいかどうかです。
Q3. 形見の時計を売るのは、薄情でしょうか
薄情ではありません。
使わずに引き出しの奥で眠らせるより、値打ちの分かる人の手に渡って使われるほうが、時計にとっても幸せだという考え方もあります。
ただし、売る前にきょうだいへ一言、そして相続放棄を考えているなら専門家に確認、の2点だけは守ってください。
Q4. 相続放棄をする予定です。形見の時計だけもらってもいいですか
受け取る前に、必ず弁護士や司法書士に相談してください。
民法は、相続財産を「処分」すると相続を承認したものとみなす、と定めています。
経済的価値のほとんどない思い出の品なら問題にならないとされる一方、高価な時計を受け取ると放棄ができなくなるおそれが指摘されています。
「高価かどうか」の線引きは個別の判断になるので、自分で決めずに確認するのが安全です。
Q5. 形見の時計が本物のブランド品かどうか、分かりません
見た目だけで本物かどうかを判断するのは、慣れた人でも難しいものです。
時計専門店の査定に出せば、真贋(本物かどうか)も含めて見てもらえます。
査定は無料のところがほとんどで、値段を聞いてから売るかどうかを決めて構いません。
「まず値段だけ知る」——それだけで、次の一歩がずっと軽くなります。
まとめ:形見の時計に、期限はない
- 形見の時計を使う・身につけるのに決まりはない。縁起も気持ちの問題。使うのがつらければ、しまっておいていい
- 止まった時計は「壊れた」とは限らない。電池交換・分解掃除で動くことが多い。直す前に見積もり、そして直す価値は気持ちで決めていい
- 使わないならリメイクという道も。ただし高価な時計は「先に査定、あとで加工」
- ブランド時計など高価な形見は相続財産。受け取る前・売る前に、きょうだいへ一言。相続放棄を考えているなら専門家へ
- 売るなら、突然来る訪問買取には応じない。ブランド時計は時計専門店、それ以外は全国対応の総合買取へ
- 迷うなら、決めなくていい。時計は待ってくれる
形見の時計は、亡くなった人の「時間」そのものです。
だから、あなたの時間で、ゆっくり決めてください。
一歩ずつで大丈夫です。
出典・参考資料
- 国税庁 タックスアンサー No.4105「相続税がかかる財産」
- 国税庁 タックスアンサー No.4102「相続税がかかる場合」(基礎控除額)
- e-Gov法令検索「民法」(第921条 法定単純承認)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問購入」(不招請勧誘の禁止・クーリング・オフ・物品の引渡しの拒絶)
あわせて読みたい
➤ 着物の断捨離記録|実家から出てきた大量の着物を手放すまで
➤ 出張買取ウリエルの評判・口コミは?親の家を片づける前に知っておきたい注意点

コメント