※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

「だから、そうじゃないってば」
何度説明しても、話がかみ合わない。
こちらの言ったことが、まるで別の意味で伝わっている。
電話を切ったあと、どっと疲れが出る。
昔はこんな人ではなかったのに。
そう思うたびに、自分の言い方が悪いのか、それとも親が変わってしまったのか、答えの出ない問いが残りますよね。
先にお伝えします。
高齢の親と話が通じないと感じるとき、その原因は「性格」ではないことがほとんどです。
多くは、①聞こえていない ②言葉が出てこない・追いつかない ③伝え方が届いていない——この3つのどれかです。
順番に確かめていけば、打つ手は見えてきます。
この記事では、その3つの切り分け方と、今日から変えられることを、90代の父と80代の母の施設入居を検討した経験のある私自身の目線で整理しました。
なお、私は医師でも介護の資格を持つ専門家でもありません。
だからこそ、この記事の医療・制度の部分は、厚生労働省などの公的資料を一つずつ確認して書いています。
この記事の30秒まとめ
- 「話が通じない」の正体は、性格ではなく①聞こえていない②言葉が出てこない③伝え方、のどれかであることが多い
- いちばん多いのに見落とされやすいのが①。厚生労働省は「65歳を超えると聞こえにくさを感じる人が急激に増える」としている
- ②は加齢でも起こるが、「ゆっくりの変化」か「急な変化」かで意味が違う。急な変化は様子を見ずに受診を
- 同じ話を何度もされたときは、訂正しない。訂正しても記憶は戻らず、関係だけが傷つく
- 家族が診断しようとしないこと。公的な「早期発見のめやす」を手に、かかりつけ医と地域包括支援センターに相談する

同じことを3回言われて、つい強い口調で返してしまったんです。あとで自己嫌悪で…

わかります。でもそれ、あなたの我慢が足りないわけじゃないんですよ。まず「なぜ通じないのか」を分けて考えてみましょう。
「話が通じない」の正体は、たいてい3つのどれかです

結論からお伝えします。
高齢の親と会話がかみ合わないとき、原因はだいたい次の3つに分かれます。
- ①そもそも聞こえていない(音として届いていない)
- ②言葉が出てこない・話に追いつかない(音は届いているが、処理が追いつかない)
- ③伝え方が届いていない(内容が多すぎる・タイミングが悪い)
なぜ分けるかというと、打つ手がまったく違うからです。
①なら耳鼻咽喉科と補聴器の話になります。
②なら、かかりつけ医や相談窓口の出番です。
③なら、こちらの話し方を変えるだけで今日から改善します。
ここを分けずに「なんで通じないの」と繰り返すと、お互いに消耗するだけで終わってしまいます。
逆に言えば、順番に確かめるだけで、やるべきことははっきりします。
まず確かめたいのは「そもそも聞こえているか」

最初に疑ってほしいのは、耳です。
いちばん多い原因なのに、いちばん見落とされます。
厚生労働省は、加齢による難聴について「一般的に40歳代から聴力が低下する傾向があると言われており、65歳を超えると、聞こえにくさを感じる人が急激に増え、75歳以上では約半数の方が聞こえにくさを感じているとも言われています」と説明しています。
同じページで、難聴の影響として「家族や友人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる」ことも挙げられています。
つまり「話が通じない」は、聞こえの問題として国も想定している状態なのです。
そして厄介なことに、本人にはこの変化がとても分かりにくい。
少しずつ進むので、「みんなの声が小さくなった」と感じていることも珍しくありません。
「聞こえていないだけ」を疑う4つのサイン
- テレビの音量が、以前より明らかに大きい
- 後ろから声をかけると反応しないが、正面からなら返事がある
- 「え?」「なに?」と聞き返すことが増えた
- 親戚の集まりなど、人が多い場所で急に無口になる
3つ以上当てはまるなら、話し方を工夫する前に、まず耳の相談を検討してみてください。
順番が逆だと、こちらがどれだけ丁寧に話しても届きません。
耳鼻咽喉科に相談するとき、家族が知っておきたいこと
厚生労働省は、補聴器を検討する際の注意点として、次の点を挙げています。
買う前に知っておくと、後悔が減ります。
- 購入前に耳鼻咽喉科医(補聴器相談医)に相談する
- 補聴器は管理医療機器。購入時の調整(フィッティング)と、その後のアフターケア・定期点検が大事
- 調整は「認定補聴器技能者」などの専門知識・技術を持つ人に行ってもらうのが効果的
- 店舗で買った場合も通信販売の場合も、どれだけ高額でも基本的にクーリング・オフは適用されない
- 聞こえにくいことで契約時に支障が生じることもあるため、周囲の支援が重要
もう一つ、知っておいてほしいことがあります。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、難聴を「対策できる認知症のリスク要因」の一つとして挙げています。
聞こえの問題を放置しないことは、会話のためだけでなく、この先の安心にもつながります。
聞こえの話は、それだけで一本の記事になる大きさがあります。
補聴器と集音器の違いや、親が「年寄り扱いするな」と拒むときの伝え方は、別記事にまとめてあります。
➤ 耳が遠いのを認めない親に、どう切り出すか(補聴器・集音器の選び方つき)
この記事では、聞こえの問題を確かめたあとも、まだ話が通じない——そこから先を扱います。
聞こえているのに、かみ合わないときに起きていること

耳は問題なさそう。
それでも会話が成り立たない。
このとき起きているのは、多くの場合「処理が追いつかない」という状態です。
年齢を重ねると、聞いた言葉を理解して、答えを組み立てて、口に出すまでの一連の作業に、以前より時間がかかるようになります。
こちらが普通のテンポで話していても、相手の中ではまだ一つ前の話を処理している——そんなズレが生まれます。
だから、こちらが早口で畳みかけるほど、かみ合わなくなります。
「聞いてない」のではなく、「追いつけていない」のです。
「追いつかないだけ」を疑う4つのサイン
- こちらがゆっくり短く話すと、ちゃんと答えが返ってくる
- 返事までに少し間があく。待たずに次を言うと、かえって混乱する
- 「うん」「そうね」と返事はするのに、答えの中身がずれている
- 一度に3つ頼むと、最初のひとつしかできていない
ここに当てはまるなら、声を大きくしても解決しません。
変えるのは音量ではなく、テンポと量です。
具体的なやり方は、このあとの「話の中身を通すための工夫」でまとめました。
「ゆっくりの変化」と「急な変化」は、分けて考えてください
ここは大事なところなので、はっきり書きます。
同じ「話が通じない」でも、数年かけてじわじわ変わってきたのか、ここ数か月で急に変わったのかで、意味が違います。
- ゆっくりの変化=年齢による変化として、伝え方の工夫でしのげることが多い
- 急な変化=体の病気が隠れていることがある。様子を見ずに、すぐかかりつけ医や医療機関へ
数日から数週間で急に様子が変わったときは、「歳のせいかな」と様子を見ないでください。
急な変化の裏には、治療が必要な体の病気が隠れていることがあります。
とくに「昨日までは普通だったのに、今日は様子がおかしい」という数日単位の変化なら、その日のうちにかかりつけ医か医療機関に連絡してください。
家族だけで「これは認知症だろうか」と見分けようとせず、まず相談することが先です。
どこに相談するかは、後半の章にまとめました。
同じ話を何度もされる…と感じたときの返し方

先に結論をお伝えします。
訂正しないでください。
「それ、さっきも聞いた」
「この前も同じこと言ってたよ」
こう返したくなる気持ちは、痛いほどわかります。
でも、訂正しても記憶は戻りにくく、指摘された側には「責められた」という気持ちだけが残ってしまいます。
どちらにとっても、つらさの残る返し方なのです。
では、どう返すか。
おすすめは、話の中身ではなく気持ちのほうに返すことです。
- 「そうだったんだ」と、初めて聞いたように受ける
- 「それ、うれしかったんだね」と、感情のほうに相づちを打つ
- 同じ話が始まったら、お茶を入れる・洗い物をするなど、自分の手を動かしながら聞く
- どうしてもつらいときは、「ちょっと電話してくるね」と席を立ってよい
最後の一つを、罪悪感なく使ってほしいと思っています。
その場を離れるのは、逃げではありません。
強い言葉を返してしまう前に距離を取るほうが、関係はずっと長持ちします。

「さっきも聞いた」って、つい言っちゃってました…

言ってしまった日があっても大丈夫ですよ。次の一回を変えればいいんです。
話の「中身」を通すための、6つの工夫

ここからは、今日から変えられる部分です。
声の大きさや向きといった音の届け方の工夫は補聴器の記事にゆずり、ここでは内容を通すための工夫に絞ります。
先ほどの「テンポと量を変える」を、具体的な形にしたものです。
① 一度にひとつだけ伝える
「来週の水曜に病院で、そのあと銀行に寄って、ついでに薬ももらってきて」
これは、若い人でも覚えきれません。
用件は一回にひとつ。
終わってから次を出す。
これだけで、かみ合わなさは目に見えて減ります。
② 答えを待つ。数秒でいい
質問したのに返事が来ないと、つい言い直したくなります。
でも言い直した瞬間、相手は最初の質問を処理するのをやめて、新しい質問の処理を始めます。
これでは、いつまでも追いつけません。
聞いたら、数秒だけ黙って待ってみてください。
それだけで返事が返ってくることがあります。
沈黙は、無視ではなく、考えている時間です。
③ 質問を「はい・いいえ」で答えられる形にする
「お昼、何が食べたい?」は、実はとても難しい質問です。
選択肢を自分で作らないと答えられないからです。
「うどんにする?」と聞けば、答えは一言で済みます。
答えやすい形にするだけで、会話は続きます。
④ 大事な話は、体調と時間帯を選ぶ
お金のこと、施設のこと、これからの住まいのこと。
こうした決めごとは、親の調子がいい時間帯に持ち出してください。
夕方以降や、疲れているときに切り出すと、まとまる話もまとまりません。
⑤ 口で言わず、紙に書いて残す
耳から入った言葉は消えますが、紙は残ります。
日付と用件を大きめの字で書いて、冷蔵庫や電話のそばに貼っておく。
「言った・聞いていない」の言い争いが、これでかなり減ります。
⑥ 否定から入らない
「違う」「そうじゃない」から始まる会話は、それだけで相手の耳を閉じさせます。
まず「そうなんだ」と受けてから、「私はこう思ってた」と続ける。
順番を入れ替えるだけで、同じ内容でも通りやすくなります。
うまくいかない日があっても大丈夫です
- 6つ全部をやろうとしなくて構いません。まず①「一度にひとつ」と②「数秒待つ」だけで十分に効きます
- 工夫しても通じない日はあります。それは工夫が足りないのではなく、相手の体調のこともあります
- こちらが疲れている日は、大事な話を持ち出さない。これも立派な工夫です
「病気かもしれない」と思ったときの目安と相談先

結論です。
家族が診断しようとしないこと。
そして、迷ったら早めに相談すること。
ここまで読んで、「うちの場合は急に変わった気がする」と思った方もいるかもしれません。
その不安を、ひとりで抱えて様子を見る必要はありません。
気になる言動の目安(公的資料より抜粋)
「うちの親は、ただの加齢なのか。それとも病気なのか」
そこがいちばん知りたいところだと思います。
政府広報オンラインは、認知症ではないかと思われる言動の例として、次のようなものを挙げています。
「認知症」早期発見のめやす(会話に関わるものを抜粋)
- 同じことを何度も言う・問う・する
- しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
- 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容が理解できなくなった
- 約束の日時や場所を間違えるようになった
- 慣れた道でも迷うことがある
- 些細なことで怒りっぽくなった
- 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」(同ページの出典=公益社団法人認知症の人と家族の会「家族がつくった「認知症」早期発見のめやす」)より抜粋
ここで大事なことをお伝えします。
これは診断ではありませんし、家族が判定するためのものでもありません。
政府広報オンラインも「思い当たる言動が複数ある場合は、認知症の初期症状かもしれませんので、専門医や専門家にご相談ください」としています。
当てはまるかどうかを家で言い争うより、その紙を持って相談に行くほうが、ずっと早いということです。
相談できる入口は、大きく2つ
入口は、大きく2つあります。
- かかりつけ医=普段の様子を知っている強みがあります。「最近、話がかみ合わないことが増えた」と具体的に伝えてください
- 地域包括支援センター=市区町村が設置している、高齢者の暮らしの相談窓口です。介護保険を使っていなくても、家族だけでも相談できます
「まだ介護というほどではないので」と遠慮される方が本当に多いのですが、その段階の相談こそ歓迎されます。
早いほど、使える手が多く残っているからです。
電話の前に知っておくと気が楽なこと
- 最初に聞かれるのは、おおむね「どこの誰の話か(本人のお名前・年齢・お住まいの地区)」と「何に困っているか」の2つです
- 介護保険証が手元にあるとスムーズですが、なくても相談できます
- その場で何かを決めさせられることはありません。話を聞いてもらうだけでも構いません
介護そのものに限界を感じている場合は、別記事に「離れ方」をまとめています。
それでも会話がつらいときは、距離を取っていい

工夫を重ねても、通じない日はあります。
そして、通じないことよりも、通じない相手と向き合い続けることのほうが、家族を消耗させます。
毎日のやり取りだけで心が折れそうなら、それは工夫が足りないのではなく、ひとりで支えることの限界が近づいているサインです。
会う回数を減らす。
電話の時間を決める。
第三者に間に入ってもらう。
どれも、親を見捨てることではありません。
施設の情報を調べ始めることも同じです。
調べたからといって、入居を決めなければいけないわけではありません。
選択肢を持っているという事実だけで、日々の会話に少し余裕が生まれます。
施設探しの無料相談がどういうしくみで成り立っているのかは、別記事で正直に書きました。
まずは「話を聞いてもらう」だけでも
「いい介護」は、口コミ・動画・費用や空室状況から全国の老人ホーム・介護施設を比較できる検索サイトです。経験豊富な専門の入居相談員に、施設探しのお困りごとから見学予約まで無料で相談できます。運営は、東証プライム上場の株式会社鎌倉新書のグループ会社・株式会社エイジプラスです。
「いい介護」で施設を探す・相談する(無料)よくある質問
Q1. 話が通じないのは、認知症のサインでしょうか
そうとは限りません。
聞こえの問題や、体調、薬の影響など、似た状態になる原因はいくつもあります。
家族が見分けられるものではないので、気になるときは、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談してください。
Q2. つい強い口調で言い返してしまいます
多くの方が同じ悩みを持っています。
言い返してしまった日があっても、あなたが冷たいわけではありません。
言い返す前にその場を離れる、という選択肢を一つ持っておくと、次の一回が変わります。
Q3. 電話だと余計に通じません
電話は、口の動きや表情という手がかりがなくなるぶん、対面より格段に難しくなります。
大事な用件は、電話ではなく紙やメッセージで残すほうが確実です。
電話は「用件」ではなく「様子うかがい」に使う、と割り切るのも一つの方法です。
Q4. きょうだいに話しても、深刻さが伝わりません
離れて暮らしていると、短時間の帰省では気づきにくいものです。
「話が通じない」と伝えるより、いつ・どんなやりとりがあったかを具体的に共有するほうが伝わります。
日付とやりとりを短くメモしておくと、あとで相談窓口に説明するときにも役立ちます。
Q5. 補聴器をすすめても、頑として使ってくれません
「聞こえていないよ」という指摘から入ると、まず拒まれます。
本人が困っている場面(テレビ・電話・集まり)を入口にすると、話が進みやすくなります。
具体的な切り出し方は、別記事にまとめました。
まとめ:通じないのは、あなたのせいではありません
最後に、大事なところだけもう一度お伝えします。
- 「話が通じない」の正体は、性格ではなく①聞こえていない②追いつかない③伝え方のどれかであることが多い
- 見落とされやすいのは①。厚生労働省も、難聴が家族とのコミュニケーションに影響することを挙げている
- ②はゆっくりの変化か、急な変化かで意味が違う。急な変化は、様子を見るより相談を
- 同じ話を何度もされたら、訂正しない。気持ちのほうに返す
- 伝え方はまず「一度にひとつ」と「数秒待つ」から。それだけでも変わる
- つらいときは距離を取っていい。それは見捨てることではない
何度も同じ説明をして、疲れて、そんな自分を責めてしまう。
そこまで向き合ってきたのは、あなたが親を大切に思っているからです。
全部をひとりで背負わなくて大丈夫。
まずは今日、「一度にひとつ」だけ試してみてください。
「まだ検討中」の段階でも、無料で相談できます
「いい介護」は、口コミ・動画・費用や空室状況から全国の老人ホーム・介護施設を比較できる検索サイトです。経験豊富な専門の入居相談員に、施設探しのお困りごとから見学予約まで無料で相談できます。運営は、東証プライム上場の株式会社鎌倉新書のグループ会社・株式会社エイジプラスです。
「いい介護」で施設を探す・相談する(無料)出典・参考資料

コメント