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「高齢の親の玄関、ちょっと危ないな……」
そう感じながらも、つい後回しにしていませんか。
実はわが家では、それが現実になってしまいました。
80代になる妻の父が、自宅の玄関で転倒。
あばら骨を6本折る大けがで、そのまま入院になったのです。
先に、この記事の結論をお伝えします。
玄関の転倒対策は、大がかりなリフォームをしなくても始められます。
お金のかからない工夫から順に7つ、今日からできる形で紹介します。
私は建築や介護の専門家ではありません。
義父の転倒と入院を目の当たりにした、ひとりの家族です。
だからこそ「転んでからでは遅かった」という後悔もこめて、当事者の目線でお話しします。
80代の義父は、玄関で転びました

義父は80代。妻の実家で、私たちとは少し離れて暮らしています。
元気に自分のことは自分でやる人でした。
その義父が、玄関で転んだ——。
打ちどころが悪く、あばら骨を6本折る大けがでした。
そのまま入院です。
骨折そのものもつらいのですが、高齢の親の入院は、本人にも家族にも大きな出来事です。
体力の低下。気力の低下。
離れて暮らす家族の心配と、通院や手続きの負担。
「玄関にちょっとした備えがあれば」
そう思わずにはいられませんでした。

玄関って、家の中でそんなに危ない場所なの?

僕も義父のことがあって初めて調べたんだけど、公的なデータを見て驚いたよ。次で紹介するね。
玄関は、家の中で「2番目に」転倒が多い場所
東京消防庁が公表している「救急搬送データからみる高齢者の事故」の最新データ(令和6年中)によると、「ころぶ」事故で救急搬送された高齢者は73,500人。
そして住宅の中で「ころぶ」事故が多く起きた場所は、次の順番でした。
| 順位 | 場所 | 救急搬送人員 |
|---|---|---|
| 1位 | 居室・寝室 | 29,783人 |
| 2位 | 玄関・勝手口等 | 3,900人 |
| 3位 | 廊下・縁側・通路 | 2,653人 |
| 4位 | トイレ・洗面所 | 1,229人 |
| 5位 | 台所・調理場・ダイニング・食堂 | 1,079人 |
出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(住宅等居住場所における「ころぶ」事故の発生場所・令和6年中/2026年7月時点の最新公表データ)
寝室に次いで、玄関は家の中で2番目に転倒が多い場所なんです。
東京消防庁も「段差のある場所や階段、玄関には、手すりや滑り止めを設置しましょう」と呼びかけています。
わが家のケースは、決してめずらしい事故ではありませんでした。
なぜ玄関で転びやすいのか
玄関には、転びやすい条件がそろっています。
- 片足立ちになる——靴の脱ぎ履きは、じつは一番バランスを崩しやすい動作
- 上がり框(かまち)の段差——家の中では一番大きな段差
- たたきが硬い——タイルやコンクリートは、転んだときのダメージが大きい
- 暗い・急ぐ——薄暗いうえに、宅配や来客であわてて出る場所
「毎日何十年も使ってきた場所」だからこそ、本人は危険を感じにくい。
ここが玄関のこわいところです。
高齢者の玄関の工夫7つ(今日からできる順)

うちの親の玄関も心配になってきた……。何から手をつければいい?

お金のかからない順に並べたよ。①〜③は今日、帰り道に寄ってできるレベルだよ。
工夫① たたきと上がり框に、モノを置かない(0円)
まずはこれだけでも効果があります。
脱ぎっぱなしの靴。届いたままの段ボール。倒れかけの傘立て。
玄関の床にあるモノは、すべて「つまずきの種」です。
靴は下駄箱へ。よく履く1〜2足だけを、壁ぎわにそろえて置く。
それだけで、足を下ろせる場所が広がります。
工夫② 雨の日の「濡れたたたき」に注意する(0円)
雨の日、傘やレインコートから落ちた水滴で、たたきはツルツルになります。
タイルのたたきは、濡れるとスケートリンクのようなもの。
傘の水は外でしっかり切る。
玄関に古タオルを1枚置いておき、床の水滴はすぐ拭く。
地味ですが、雨の日の習慣にする価値があります。
工夫③ 玄関マットは「滑らないもの」だけにする
意外に思われるかもしれませんが、玄関マットそのものが転倒の原因になることがあります。
裏に滑り止めのないマットは、踏んだ瞬間にずれます。
ふちがめくれたマットは、つま先が引っかかります。
高齢の親の家で玄関マットを敷くなら、選ぶ条件は3つ。

- 裏面が床に吸着してずれないこと
- 薄手で、ふちがめくれにくいこと
- 洗ったあとも吸着力が戻ること
実は私の母も一度、縁がめくれたマットにつま先をひっかけてしまい、転倒したことがありました。
私の場合はすぐに、今あるマットの裏に「滑り止め吸着テープ」を貼り、マットがめくれないようにしました。
これも簡単にできる、立派な安全対策になると思います。
工夫④ 座って靴を履ける椅子を用意する
靴の脱ぎ履きの片足立ちは、若い人でもふらつく動作です。
玄関に小さな椅子やベンチをひとつ。
「座って履く」に変えるだけで、片足立ちの時間がゼロになります。
まずは新しく買わなくて大丈夫。
家の中で使っていない安定した椅子があれば、今日から始められます。
ただし、キャスター付きや折りたたみのぐらつく椅子は、かえって危ないので避けてください。

「もっとしっかり支えてほしい」「立ち上がるときにつかまる場所もほしい」。
そう感じるなら、高齢者が靴を履くための玄関専用の椅子があります。
私が調べた中で安心できたのは、福祉用具専門相談員が開発監修した楽々健の玄関スツール「楽府(らくふ)ふらり」でした。
手すりが付いていて立ち上がりを支えてくれるうえ、座面の高さを3段階(33〜43cm)に調整できます。
座面の下は靴の収納になり、耐荷重は約100kg。工事もいりません。
レビューは24件で総合評価4.42(2026年7月時点)。
「使い心地は満足」という声が多い一方で、「組み立てに少し手間取った」という正直な感想もあります。
完成品ではなく組立式なので、そこは知っておくと安心です。
工夫⑤ 玄関と廊下を明るくする
高齢になると、若いころより多くの明るさが必要になると言われます。
それなのに、玄関と廊下は家の中でも照明が弱い場所。
おすすめは電池式の人感センサーライトです。
工事不要で、貼るか置くだけ。
人が近づくと自動で点くので、「スイッチを探して暗がりを歩く」ことがなくなります。
ホームセンターや通販で手に入ります。
工夫⑥ 上がり框の段差は「踏み台」で半分にする
じつは、わが家でも最初は玄関に椅子を置こうと考えました。
でも義父は「座って、また立ち上がるのが面倒だ」と言うのです。
そんなとき、ケアマネジャーさんから「工事のいらない、置くだけの手すり付き踏み台がありますよ」と教えてもらいました。
それなら、と調べて試してみることにしたのです。
家の中で一番大きな段差が、玄関の上がり框です。
この段差を丸ごとなくすのは工事になりますが、踏み台を置いて「一段を半分に割る」のは今日からできます。
ただし、踏み台なら何でもいいわけではありません。
不安定な台は、かえって危険です。選ぶ条件は次の3つ。
- 奥行きが深く、足全体がしっかり乗ること
- 天板に滑り止め加工があること
- できれば手すり付き——つかまる場所とセットになっていること
私が調べた中で「これなら」と思えたのが、楽天で見つけた手すり付きの木製玄関踏み台です。
幅100cm・奥行35cmと足場が広く、天板には滑り止めの溝加工。
手すりは左右どちら側にも付けられるので、家の間取りに合わせられます。
工事はいらず、届いたら組み立てて置くだけ。台の下は靴の収納にもなります。
レビューは18件で総合評価4.44(2026年7月時点)。
「安定感があり昇降が楽になった」という声の一方で、「手すりがもう少し高いとありがたい」という正直な指摘もあります。
手すりに体重を全部預けるのではなく、あくまで「バランスを取るための支え」と考えるのが安全な使い方です。
間口の狭い玄関には、同じシリーズで幅70cmのタイプもあります。
工夫⑦ つかまる場所(手すり)を作る
靴の脱ぎ履き、框の昇り降り、ドアの開け閉め。
玄関の動作すべてに効くのが手すりです。
手すりには大きく2つの選択肢があります。
- 置き型(据え置き)タイプ——工事不要。賃貸でも使える。まず試したい人向け
- 壁に固定する工事タイプ——しっかり体重を支えられる。長く使うなら本命
本格的に付けるなら、次の章がわが家からのいちばんのおすすめです。
手すり工事・段差解消を本格的に考えるなら
手すりは「とりあえず付ける」が一番もったいない工事です。
本人の身長、力の入り方、玄関での動き方。
それを見てから高さと位置を決めるのが、プロのやり方です。
リフォーム会社に頼む場合は、1社に決め打ちせず、複数社の見積もりを比べることをおすすめします。
金額だけでなく「提案の中身」に差が出るからです。

🔨 玄関の手すり・段差解消は無料見積もりから
「うちの玄関ならどこに手すり?」「上がり框の段差はどう解消?」——リショップナビなら、複数のリフォーム会社の見積もりと提案を無料で比較できます。
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また、要支援・要介護の認定を受けている方は、手すりの取り付けや段差解消の工事が介護保険の「住宅改修」の対象になる場合があります。
ただし、大事な注意がひとつ。介護保険の住宅改修は、必ず工事を始める「前」に申請する決まりです(事前申請)。工事のあとから申請しても、やむを得ない事情がある場合を除き、保険の対象になりません。
条件や手続きは人によって変わるので、工事を決める前に、担当のケアマネジャーさんか地域包括支援センターに一度相談してみてください。
玄関だけでなく家全体の転倒対策は、こちらの記事にまとめています。
▶ 高齢の親の転倒が怖い!今日からできる転倒予防の全対策
玄関の転倒防止でよくある質問
Q1. 賃貸で工事ができません。どうすればいいですか?
賃貸でも、この記事の工夫①〜⑥はすべてできます。
手すりも、床に置くだけの据え置き型なら壁に穴を開けずに設置できます。
「工事ができない=何もできない」ではありませんので、できることから始めてみてください。
Q2. 玄関の段差解消に使える福祉用具はありますか?
玄関まわりでよく使われる福祉用具には、踏み台(式台)、据え置き型の手すり、段差スロープなどがあります。
このうち、工事のいらない据え置き型手すりやスロープは、介護保険のレンタル(福祉用具貸与)の対象になる場合があります。
使える制度は認定の状況などで変わるため、ケアマネジャーさんや福祉用具の専門相談員に確認するのが確実です。
Q3. 玄関の転倒防止マットは、結局どれを選べばいいですか?
「裏面が吸着してずれない」「薄手でめくれない」「洗える」の3条件で選んでください。
ふかふかの厚いマットは気持ちいいのですが、高齢者の玄関では足を取られるもとになります。
条件に合うものがなければ、敷かない選択もありです。
Q4. 親が「まだ大丈夫」と言って、対策させてくれません
これが一番むずかしい問題かもしれません。
「あなたが危ないから」と言うと、親はたいてい嫌がります。
おすすめは言い方を変えること。
「孫が来たときに危ないから」「敬老の日のプレゼントに」——親のためではなく、家族のための工夫という形にすると、受け入れてもらいやすくなります。
わが家も、義父が転んでから本気で動きました。
でも本当は、転ぶ前にこの話をしておくべきだったと思っています。
まとめ:玄関の工夫は「転ぶ前」だから意味がある
最後に、高齢者の玄関の工夫7つをもう一度。
- たたきと上がり框に、モノを置かない
- 雨の日の濡れたたたきに注意する
- マットは「滑らないもの」だけにする(敷かない選択もあり)
- 座って靴を履ける場所を作る
- 玄関と廊下を明るくする(人感センサーライト)
- 上がり框の段差は踏み台で半分にする
- つかまる場所(手すり)を作る
義父の転倒で痛感したのは、「転んでからの対策」は何倍も大変だということです。
入院、リハビリ、家族の付き添い。
それに比べたら、踏み台ひとつ、ライトひとつは本当に小さな備えです。
全部やらなくて大丈夫。
まずは①のモノの片づけからで十分です。
一歩ずつで大丈夫ですよ。

週末、実家の玄関をちょっと見てくるよ。

それが一番の転倒防止だよ。玄関を見るついでに、顔を見せてあげてね。

段差を半分にする、手すり付きの玄関踏み台。工事不要で今日から。
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