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親の介護で仕事を辞めることになったとき、いちばん重くのしかかるのは「これから、お金はどうしよう」という不安ではないでしょうか。私自身も、身の回りに高齢の家族が多く、「働けなくなったら生活はどうなるのか」と眠れない夜を過ごした経験があります。
でも、知っているかどうかで大きく変わる制度があります。この記事では、介護で退職した人が失業手当を「減らさずに」受け取りながら、無理のない範囲で働く方法を、むずかしい言葉を避けてお伝えします。
結論から言うと──「正しく申告して、3つの条件を守れば」働いても手当は減りません。
介護離職は「特定理由離職者」で得をする

自己都合なのに、待たずにすぐ受け取れる
家族の介護のためにやむを得ず退職した人は、ハローワークで「特定理由離職者」と認められることがあります。ふつうの自己都合退職だと、手当が出るまで待機のあとさらに待たされますが、特定理由離職者は「給付制限」がなく、7日間の待期のあとすぐに受給が始まります(厚生労働省)。
認定には、介護が理由だとわかる書類(担当医に書いてもらう証明書や、続柄のわかる書類)が必要です。まずは離職票を持って、管轄のハローワークで「介護が理由です」と伝えてください。
「自分は自己都合だから不利」と思い込んで、損をしないでください。
ただし「つきっきりの介護」の人は、いったん延長を
ここは大事な分かれ道です。失業手当は「働ける状態で、仕事を探している人」がもらえるものです。ですから、親御さんに常時つきっきりで、今は働けないという人は、今すぐは受け取れません。その代わり、「受給期間の延長」という手続きをしておくと、権利を消さずに取り置きでき、働けるようになってから受け取れます。
- 介護に専念して今は働けない → 受給期間の延長
- 介護しながらでも短時間なら働ける → このまま読み進めてください(受給しながら働けます)
この方法は介護離職の人だけのものではありません
ここまで読んで「これは介護で辞めた人だけの話かな」と思われたかもしれません。でも、この「3つの条件で手当を減らさずに働く」仕組みは、失業手当(基本手当)を受け取る人すべてに共通するルールです。自己都合で辞めた人も、会社都合の人も、同じように使えます。
違うのは「受給が始まるまでの早さ」だけです。
- 会社都合・特定理由離職者(介護など)…給付制限がなく、7日間の待期のあとすぐに受給が始まります。
- 自己都合で辞めた人…待期のあとに「給付制限期間」があります。以前は2〜3か月でしたが、2025年4月から原則1か月に短縮されました(2025年4月施行の改正雇用保険法による)。※5年以内に3回以上の自己都合退職の場合は3か月のままです。
そして大事なのは、いったん受給が始まれば、上の3つの条件はどの人もまったく同じだということ。ですから自己都合で辞めた人も、この記事の計算方法をそのまま使えます。
減らさず働く「3つの条件」
ここが記事のいちばん大事なところです。次の3つが全部そろえば、働いても手当は減りません。
基本手当日額 + 収入 − 控除額 ≦ 賃金日額 × 80%
働き方:時給900円のバイトを 1日3時間・週6日
言葉にすると、①週20時間未満・②1日4時間未満・③その日の収入が「枠」を超えない、の3つです。そして忘れてはいけないのが、働いた日は必ずハローワークに申告すること。隠して受け取ると「不正受給」になり、あとで最大3倍の返還を求められます。
ズルではなく、堂々ともらう。それがいちばん得な受け取り方です。
自分の数字で計算してみましょう
使う数字は「受給資格者証」に書いてあります
③の計算に使う 「賃金日額」と「基本手当日額」 は、手続き後にもらう受給資格者証という紙に印字されています。その金額をそのまま使います。もう一つ「控除額」を使いますが、2025年8月時点の控除額は1,391円です(毎年8月に見直されます。最新は厚生労働省の公式で確認してください)。
上の図解の計算例のように、ご自分の受給資格者証の数字に置きかえて、一度計算してみてください。「これなら大丈夫」と目で見て分かると、ずいぶん気持ちが楽になります。
私の場合の話
実は私も、2024年に勤めていた会社が倒産し、失業手当を受け取った一人です。 家族もいて、毎月の生活は待ったなし。「次の仕事が決まるまで、生活費はどうしよう」と、頭の中はお金のことでいっぱいでした。
当時、以前から続けていた小さな副業がありました。これを続けていいものか迷い、私はハローワークの窓口で正直に「副業を続けながら求職活動をします」と伝えました。 隠さず先に相談したことで、何をどう申告すればいいかを、はっきり教えてもらえました。
- 副業の作業は 1日3時間程度にとどめる(=1日4時間未満・週20時間未満を守る)
- その利益は、賃金日額の80%の枠を完全に下回るように収める
- 働いた日は、きちんと申告する
雑貨の卸売業を30年以上やってきて数字には慣れているつもりでしたが、それでも制度は複雑で、何度も窓口に確認しました。結果は、失業手当を「満額」受け取れました。 特別なことは何もしていません。ルールを正しく知って、正直に申告した。ただそれだけです。
そしてもう一つ、当時の私が「早く知りたかった」と思うことがあります。お金の助けは、失業手当だけではありません。 離職の理由や収入によっては、国民健康保険料や国民年金の減免・免除が受けられることがあります。私も手続きをして、毎月の固定費がぐっと軽くなりました。お住まいの市区町村や年金事務所で、ぜひ一度たずねてみてください。
不安なときこそ、「隠す」より「聞く」。正直に相談することが、いちばん得な道でした。
受給しながらできる働き方

介護と両立するなら、シフトの自由がきく短時間・単発の仕事が現実的です。1日数時間だけ、週に数日だけ、という働き方なら、上の3条件にも収まりやすくなります。
「どんな短時間の仕事があるのか」を今のうちに眺めておくだけでも、気持ちはぐっと楽になります。登録は無料なので、気になる求人を見ておくところから始めてみましょう。
「フルタイムは無理でも、少しなら働ける」──その「少し」が、暮らしを支えてくれます。
介護がしんどいと感じたら

無理は禁物です。ひとりで抱え込むと、心も体も続きません。介護の負担を軽くする選択肢として、在宅サービスや施設の資料を「見るだけ」取り寄せてみるのも一つの方法です。比べておくだけでも、いざというときの安心になります。
あわせて読みたい
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費用や対応してくれる内容は、施設やサービスごとに大きく違います。まずは無料の資料で”相場観”だけでもつかんでおくと、いざというときに慌てずにすみます。
よくある質問
Q. 働いた分は、必ず申告しないとダメ?
はい、必ず申告してください。少額でも、申告すれば上の3条件で守られます。隠すと不正受給になります。
Q. 1日4時間以上働いてしまった日は?
その日は手当が出ません。ただし失業手当は「もらえる日数」が決まっていて、働いた日はその日数を使いません。だから消えるのではなく、後日の「働かなかった日」に回って支払われます(受け取れる期限は原則1年。その中なら結局もらい切れます)。
Q. 副業やせどりを続けていても大丈夫?
一定の範囲なら可能ですが、「事業」とみなされると受給資格そのものを失う場合があります。判断はハローワークによって異なるので、始める前に必ず管轄の窓口で確認してください。
Q. 週20時間未満なら、必ず大丈夫?
基本は時間数(週20時間未満・1日4時間未満)で判断されますが、契約期間や働き方の実態によっては「就職した」とみなされ、受給が打ち切られることもあります。時間数だけで一概に決まらない場合もあるため、アルバイト・パート・業務委託などを始める前に、必ず管轄のハローワークで確認してください。
Q. 失業手当のほかに、お金の助けはある?
はい。離職の理由や前年の収入によっては、国民健康保険料の軽減や国民年金保険料の免除・猶予を受けられる場合があります。手続きは、国保はお住まいの市区町村、年金は年金事務所です。「離職した」と伝えて、対象になるか確認してみてください。
まとめ
親の介護で退職しても、「特定理由離職者」の優遇と、3つの条件を知っておけば、失業手当を減らさずに、無理のない範囲で働けます。
- 介護が理由なら特定理由離職者(すぐ受給/つきっきりの人は受給期間の延長)
- 週20時間未満・1日4時間未満・収入は枠内なら減額なし
- 必ず申告し、迷ったら管轄ハローワークに相談
不安な時期だからこそ、正しい知識が、いちばんの支えになります。まずはご自分の受給資格者証を開いて、数字を確かめることから始めてみてください。

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