高齢者が転倒して起き上がれない時、救急車を呼ぶ基準|歩けなくなったら家族がやること

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🚨 いま、親が転んで起き上がれない方へ
・痛がって動けない/頭を打って様子がおかしい/意識がおかしい → 迷わず119番。無理に起こさない
・呼ぶほどか迷う → ♯7119(#7119)で医師・看護師等に相談できる(実施地域あり)
・痛みがなく本人が動けるなら、横向き→四つ這い→椅子につかまって、本人のペースで(起こし方は本文に)

📌 転んだ後の流れ(30秒まとめ)
・骨折で入院したら、退院を待たずに介護保険を申請する(申請日にさかのぼって使える)
・退院前に、玄関の手すり・段差と「家族が行けない日の人手」を決めておく
・歩けなくなったら、リハビリ・福祉用具・人手の3つを同時に考える
玄関の上がり框で座り込む高齢男性の後ろ姿と、肩に手を添える家族
高齢者が転倒して起き上がれない——その場で家族が迫られる判断を、経験をもとに整理しました。

親が転んだ。
電話の向こうで「起き上がれない」と言っている。
救急車を呼ぶべきか、それとも様子を見るべきか——。
その数分の迷いは、経験した人にしか分からない重さがあります。

上の枠の3行が、この記事の結論です。
高齢者が転倒して起き上がれないときは、迷ったら救急車。
「呼ぶほどではないかも」と迷ったら、♯7119(救急安心センター)に電話して、専門家に判断を任せてください。
ここからは、その理由と、転んだ後に家族が順番にやることを書きます。

私は医療や介護の専門家ではありません。
ただ、80代になる妻の父が玄関で転び、あばら骨を6本折って救急車で運ばれた——その一部始終を家族として経験しました。
この記事では、その経験と公的な資料をもとに、転んだ直後の判断から、入院中に家族がやること、退院して歩けなくなったときの選択肢までを順番に書きます。

80代の義父が玄関で転倒し、救急車で運ばれた日

夕方の住宅街の一軒家の前に停まる救急車と、見守る家族の後ろ姿
義父は玄関で転び、あばら骨を6本折って救急車で運ばれました。

妻の父は80代で、私たちとは少し離れて暮らしています。
元気に自分のことは自分でやる人でした。
その義父が、自宅の玄関で転びました。

打ちどころが悪く、あばら骨を6本折る大けがでした。
救急車で運ばれ、そのまま入院です。
あとから「玄関は、家の中で2番目に転倒が多い場所」だと知りました。
東京消防庁の救急搬送データ(令和6年中)では、住宅内で「ころぶ」事故が起きた場所の1位は居室・寝室、2位が玄関・勝手口等でした(東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」)。

義父の場合は、結果から見れば救急車を呼んで正解でした。
あばら骨6本は、家で様子を見てよいけがではありません。
でも、転んだ直後にそれが分かるわけではないのです。
「大げさかもしれない」「本人が大丈夫と言っている」——そこで迷う家族は多いと思います。
だからこの記事では、まず「呼ぶ基準」から書きます。

高齢者が転倒して起き上がれない時、救急車を呼ぶ基準

台所のテーブルでスマートフォンを耳に当て、救急車を呼ぶか相談の電話をかける女性の手元
迷ったら119番、判断に迷うなら♯7119。番号を先に控えておくと動けます。

判断の物差しは、消防庁が公開している「救急車を上手に使いましょう」(令和7年12月発行)にあります。
高齢者について「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、次のような項目が挙げられています。

  • 交通事故や転落、転倒で強い衝撃を受けた
  • 意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)
  • 急にふらつき、立っていられない
  • 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる
  • 大量の出血を伴うけが
  • 突然の激しい頭痛/ろれつがまわりにくい

出典:消防庁「救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なのはどんなとき?〜」(PDF)
同じ資料には、「その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合」も救急車の対象で、「高齢者は自覚症状が出にくい場合もあります」と注意書きがあります。
本人が「大丈夫」と言っていても、家族から見て様子がおかしければ、それは呼ぶ理由になります。

転倒に絞ると、東京都保健医療局の「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」に、まさに「祖母が転んで、動けない」という場面の説明があります。
強い痛みがある、はれや変形がある、動かすとさらに痛い——こうした状態なら骨折の可能性があるとして、すぐに救急車を呼ぶ流れが示されています(東京都保健医療局「シーン1 祖母が転んで、動けない!」)。
救急車が来るまでは、状態を注意深く観察する。
骨折の疑いがあるなら、無理に起こしたり動かしたりしない。
これが、公的な資料に共通する答えです。

転んだ直後の判断フロー

🚑 迷わず119番

・痛がって動けない
・頭を打って様子がおかしい
・意識がない/もうろう
・片方の手足に力が入らない
・大量の出血
無理に起こさない

📞 迷ったら♯7119

・呼ぶほどか分からない
・一人では起こせない
・様子がいつもと違う
医師・看護師等が判断を助けてくれる(実施地域あり)

🙆 本人のペースで起きる

・強い痛みがない
・頭を打っていない
・手足のしびれがない
横向き→四つ這い→椅子につかまって。腕を引っぱらない

東京消防庁のデータでは、「ころぶ」事故で救急搬送された高齢者は令和6年に73,500人。
そのうち約4割が、入院の必要がある中等症以上と診断されています(同ページ図2-1・図2-3)。
「転んだだけ」で済まないケースが、それだけ多いということです。

ジャズ
ジャズ

うちの母も一度、台所で転んで起き上がれなくなったの。
本人は「大丈夫、ちょっと座らせて」って言うし、救急車を呼ぶか本当に迷った。

ロック
ロック

僕も義父のときは、あばら骨6本折れてると分かったのは病院に着いてからだよ。
転んだ直後に分かることなんて、ほとんどない。
だから「迷ったら呼ぶ」でいいんだと思う。

痛みはないのに起き上がれない——起こしてよい時と、起こし方

実際に多いのは、骨折の兆候はないのに、足の力が足りなくて床から立てないケースです。
まず確認するのは3つ。
強い痛みがないか、頭を打っていないか、手足がしびれたり動かしにくくなったりしていないか。
ひとつでも当てはまれば、起こさずに119番か♯7119です。

3つとも大丈夫で、本人が「痛くない、自分で動ける」と言うなら、あわてて引っぱり上げないでください。
本人のペースで、次の順番で起き上がってもらいます。
①あお向けなら、まず横向きになる
②腕で上体を支えて、四つ這いになる
③安定した椅子・ベッド・低いテーブルのそばまで這って移動し、両手をつく
④片方の膝を立てて、腕と脚の力でゆっくり立ち上がり、そのまま椅子に座る
家族は、横で椅子を押さえ、体を支える程度にとどめます。
腕を引っぱって起こすと、本人の肩を痛めたり、支える側が腰を痛めたりします。

痛みがない時の起き上がり方(本人のペースで)

1横向きになる

あお向けなら、まず体を横に向ける

2四つ這いになる

腕で上体を支えて、両手両膝をつく

3椅子に両手をつく

安定した椅子・ベッド・低いテーブルのそばまで這って移動

4片膝を立てて立つ

腕と脚の力でゆっくり立ち、そのまま椅子に座る

⚠ 家族は椅子を押さえて支える程度に。腕を引っぱらない。途中で痛み・ふらつきが出たら中止して♯7119へ。

横向きになってから腕の力で起き上がるほうが、体をまっすぐ起こすより小さな力で済む——これは介護技術の基本で、福祉医療機構の介護技術コラムでも説明されています(WAM NET「第3回:起き上がり動作」)。
途中で痛みが出た、立てない、立ってもふらつく。
そのときは無理をせず、♯7119か、かかりつけ医に相談してください。

頭を打ったが今は元気——当日と、数週間後の観察ポイント

転んで頭を打った。
でも本人はケロッとしている。
家族がいちばん迷うのが、この場面です。

当日は、消防庁の基準にある症状が出ないかを見ます。
意識がおかしい・もうろうとしている、吐き気、ろれつが回らない、片方の手足に力が入らない、だんだん強くなる頭痛。
ひとつでも出たら、その時点で119番です。
国立病院機構 大阪医療センターの案内でも、頭部外傷の急性期の症状として意識障害・頭痛・嘔吐・手足の麻痺が挙げられています(大阪医療センター「頭部外傷」)。

そして高齢者は、「その場で何もなかった」で終わらないことがあります。
慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)——頭を打ってから数週間〜2か月ほど経って、頭の中にゆっくり血がたまる病気です。
関東労災病院の解説によると、軽い打撲でも3週間後以降に起こりえて、高齢者では「なんとなく活気がなくなり、起き上がれなくなった」という症状だけのこともあり、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいる人は起こしやすいとされています(関東労災病院 脳神経外科「頭部外傷(慢性硬膜下血腫)について」)。
頭を打ってから1〜2か月は、歩き方がおかしい・ぼんやりしている・元気がない・頭痛が続く、が出たら「年のせい」にせず脳神経外科へ。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる親なら、症状がなくても、頭を打った日のうちにかかりつけ医に電話で相談しておくと安心です。

頭を打った後、見るポイントは2段階

当日〜数日

意識がおかしい・もうろう/吐き気/ろれつが回らない/片方の手足に力が入らない/強くなる頭痛
→ ひとつでも出たら119番

3週間〜2か月後

歩き方がおかしい/ぼんやりしている/元気がない・起き上がらない/頭痛が続く
→「年のせい」にせず脳神経外科へ(慢性硬膜下血腫の可能性)

💊 血液をサラサラにする薬を飲んでいる親は、頭を打った日のうちにかかりつけ医へ相談を。

救急車を呼んだら、用意しておくもの

119番したあと、救急車が来るまでに用意しておくと便利なものが、消防庁の同じ資料(2ページ目)に載っています。
マイナ保険証(または資格確認書)、診察券、お金、靴、普段飲んでいる薬かおくすり手帳。
救急隊には、持病・かかりつけの病院・飲んでいる薬を伝えます。
資料には「日頃からメモにまとめておくと便利」とあります。
1枚の紙にまとめて親の家の分かる場所に置いておけば、離れて暮らす家族でも、電話で「あの紙を見せて」と言えます。

迷ったら♯7119——救急車を呼ぶか相談できる窓口

「呼ぶほどではない気もする。でも一人で起こせない」——その中間の状態が、家族にとって一番つらいところです。
そのためにあるのが、救急安心センター事業「♯7119」(#7119)です。
医師・看護師・救急救命士などが、救急車を呼ぶべきか、病院に行くべきかを電話でアドバイスしてくれます(消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」)。

ひとつだけ注意があります。
♯7119は全国一律ではなく、消防庁のページによると現在は全国41地域での実施です(2026年7月時点の記載)。
親の住む地域で使えるかどうかは、上のリンク先の実施地域の一覧で、いま確認しておいてください。
使えない地域では、自治体の救急相談窓口や、かかりつけ医に相談する形になります。

ここで、離れて暮らす家族が注意したいことがあります。
119番は、かけた電話のある場所を管轄する消防につながる仕組みです。
携帯電話なら、いちばん近い基地局を管轄する指令センターにつながります。
管轄が違えば転送はしてもらえますが、その分だけ時間がかかります(吹田市「119番はどこに繋がるのですか」)。
つまり、遠くにいる家族が代わりに119番しても、親の地域の消防には直接つながりません。
親が電話で話せる状態なら、親自身に119番してもらうのがいちばん早い。
話せないなら、近所の人や近くに住む親戚に駆けつけてもらい、その人が119番する。
それに備えて、親の地域の消防本部の電話番号と、近所で頼める人の連絡先を、あらかじめ控えておいてください。
♯7119も地域ごとの事業で、消防庁の一覧には各地域の直通番号(例:03-…のような番号)が載っています(実施地域の一覧)。
親の地域の直通番号を控えておけば、離れた場所からでも親の地域の窓口に相談できます。
「119」「♯7119の直通番号」「かかりつけ医」の3つを書いた紙を、親の家の電話のそばに貼っておく。
それだけで、次に何かあったときの最初の一手が変わります。

親が骨折して介護が始まる前に——入院中に介護保険を申請する

病院の廊下のベンチで介護保険申請の書類を持つ50代男性の手元
入院中に介護保険を申請する。認定の効力は申請日にさかのぼります。

救急車で運ばれ、骨折で入院が決まったら。
家族が病院の外でやるべきことが、ひとつあります。
介護保険の申請です。
「退院してから」ではなく、入院中に動きます。

義父のときは、入院をきっかけに地域包括支援センターに相談し、要介護認定を申請しました。
認定が下りたあとにケアマネジャーさんが決まり、退院後の暮らしに何が要るかを一緒に考えてもらえました。
玄関の手すりや踏み台のことも、このケアマネさんから教わりました。
なお、ケアマネジャーは認定と同時に自動で付くわけではありません。
要介護なら居宅介護支援事業所を選んで契約し、要支援なら地域包括支援センターが担当します。
どこに頼めばいいか分からなければ、まず地域包括支援センターに相談すれば案内してもらえます。
入院中なら、病院の地域連携室(医療ソーシャルワーカー)に「退院後の介護の相談をしたい」と伝えるのも近道です。

急ぐ理由は、制度のしくみにあります。
要介護認定の効力は、申請した日にさかのぼって発生します(介護保険法第27条)。
つまり、申請が1日遅れれば、介護サービスを使える起点も1日遅れる。
逆に言えば、入院してすぐ申請すれば、退院と同時にサービスを使い始める準備ができます。

転倒から退院まで、家族が動く順番(義父のケース)

1転倒・救急搬送 玄関で転倒。あばら骨6本骨折で入院
2入院してすぐ 地域包括支援センターに相談し、介護保険を申請(効力は申請日にさかのぼる)
3入院中 病院の地域連携室(医療ソーシャルワーカー)にも退院後の相談
4認定が下りたら ケアマネジャーを決める(要介護=居宅介護支援事業所/要支援=地域包括)
5退院前 玄関の手すり・踏み台、家族が行けない日の人手を決めておく

実は私自身の父(90代)が倒れたときにも、同じ申請をしています。
そのときは認定調査に立ち会えず、父は調査員さんに、ほとんどのことを「自分でできる」と答えていました。
結果の通知が届いたのは、認定調査から約3週間後です。
申請の流れ、認定調査で何を聞かれるか、そして私が立ち会わなかったせいで冷や汗をかいた話は、介護認定調査の記事に詳しく書きました。
親が骨折して介護が現実になった方は、退院前にそちらを一度読んでおいてください。
制度の全体像は厚生労働省「要介護認定」でも確認できます。

親が骨折して介護が始まる。
これは決してめずらしい流れではありません。
厚生労働省の2025(令和7)年国民生活基礎調査では、介護が必要になった主な原因のうち「骨折・転倒」は、要介護者で14.8%と第2位でした(1位は認知症23.6%。同調査の表16。国民生活基礎調査の概況・介護の状況(PDF))。
転倒は「けが」で終わらず、「介護の入口」になりやすいのです。

親が退院したら、玄関の手すりと段差を先に見直す

玄関の上がり框に置いた手すり付き踏み台をつかむ高齢者の手と足元
義父の玄関には、工事のいらない手すり付きの踏み台を置きました。

親が退院したら、まず家の中で一番危ない場所をつぶします。
義父のケースがそうだったように、その場所はたいてい玄関です。
上がり框(かまち)の段差、靴を履くときの前かがみ、暗い足元。
「二度目」を防げるかどうかは、退院前の数日で決まります。

私たちが義父のためにやったのは、工事ではなく「置くだけ」の対策でした。
ケアマネさんに教わった手すり付きの玄関踏み台で、大きな一段を半分に割る。
義父は「座って、また立ち上がるのは面倒だ」と言うので、椅子ではなく踏み台を選びました。
高齢者の玄関の手すりや段差の解消は、介護保険の住宅改修の対象になる場合もあります。

玄関の工夫7つ(照明・マット・踏み台・手すり・座って靴を履くなど)と、住宅改修の支給限度額については、高齢者の玄関の工夫の記事にまとめています。
退院日が決まったら、まずあの記事の①から順に試してみてください。
この記事では重複を避けて、玄関の先——「歩けなくなったらどうするか」に進みます。

高齢者が歩けなくなったら——親が歩けなくなった後の3つの選択肢

住宅の廊下で歩行器を使って歩く高齢男性の後ろ姿と、横で支える家族
歩けなくなったら、リハビリ・福祉用具・人手の3つを同時に考えます。

退院はできた。
でも、以前のようには歩けない。
親が歩けなくなったとき、家族が同時に考えることは3つあります。
①リハビリ ②福祉用具 ③人手 です。
どれかひとつではなく、3つを同時に。
これが、義父の件で学んだことでした。

歩けなくなったら、3つを同時に考える

🏥 ①受診とリハビリ

退院時にリハビリの方針を聞く。急に歩けなくなったら別の病気も疑う

相談先:かかりつけ医・ケアマネ

🦽 ②福祉用具

車椅子・歩行器は「借りる」か「買う」か。要介護1以下は車椅子の保険レンタルが原則対象外

相談先:ケアマネ・福祉用具専門相談員

🤝 ③人手

家族が行けない日を、介護保険の外の自費ヘルパーで埋める

相談先:地域包括支援センター・自費サービス

①受診とリハビリ——「年のせい」で片づけない

骨折のあと、以前のようには歩けなくなる親は少なくありません。
退院時に病院からリハビリの方針を聞き、介護保険が使えるなら、ケアマネさんに訪問リハビリや通所リハビリの相談をしてください。
転倒とは関係なく「最近急に歩けなくなった」場合は、別の病気が隠れていることもあります。
その場合は自己判断せず、まずかかりつけ医の受診を。

②福祉用具——車椅子や歩行器は「借りる」か「買う」か

歩けなくなった親に、車椅子や歩行器が要る。
ここで多くの家族がつまずくのが、介護保険のレンタルの「壁」です。

介護保険の福祉用具貸与は、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ以外の種目——車椅子や特殊寝台など——について、要支援1・2と要介護1の方は原則として給付の対象外です。
ただし、身体の状態などによっては、認定調査の結果や市区町村への申請で対象になる場合もあります(厚生労働省「福祉用具・住宅改修」)。
該当するかどうかは、必ずケアマネさんか役所の窓口で確認してください。

介護保険のレンタル要支援1・2/要介護1要介護2以上
手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ○ 対象○ 対象
車椅子・特殊寝台(介護ベッド)など△ 原則対象外
身体の状態により例外あり(ケアマネ・役所に確認)
○ 対象
認定がまだ出ていない自費レンタルか購入(暫定ケアプランはケアマネに相談)

出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」(軽度者への福祉用具貸与の取扱い)をもとに作成

つまり、認定が軽かった場合や、そもそもまだ認定が出ていない時期は、介護保険で車椅子を借りられないことがあります。
その場合の選択肢は、自費でレンタルするか、買うかです。
短期間なら自費レンタル、退院後も長く使いそうなら購入——というのが、私が調べた範囲での分かれ目でした。
折りたたみの車椅子は、いまは1万円台から買えます(例:フェニックス商事「ナイスウェイ4」13,800円〜。2026年9月に公式サイトで確認)。
ただし、車椅子は体格に合わないと座った姿勢が崩れて危険です。
買う前に、ケアマネさんか福祉用具専門相談員に、サイズとタイプを相談してください。

介護保険のレンタルが使えないとき——買うという選択肢

フェニックス商事のオンラインショップは、自社ブランド「ナイスウェイ」の折りたたみ車椅子を1万円台から扱っています。私が価格を確認した時点(2026年9月)では、いちばん手頃な「ナイスウェイ4」が13,800円〜、介助ブレーキ付きの自走式「ナイスウェイ8」が33,800円、軽量タイプの「ナイスウェイ10」が38,000円(いずれも税込)でした。サイズやタイプは、購入前にケアマネジャーか福祉用具専門相談員に相談を。高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可を持つ会社です。価格や在庫は変わるので、公式サイトでご確認ください。

ナイスウェイの車椅子を公式サイトで見る

③人手——家族が行けない日を、介護保険の外で埋める

そして、一番見落とされるのが「人手」です。
退院直後の親を、一人にしておけない。
でも家族は仕事があり、毎日は行けない。
介護保険のヘルパーは、認定が出るまで使えないか、使えても時間や内容に制限がある。
この隙間を埋めるのが、介護保険の外で自費で頼めるヘルパーです。

たとえば「クラウドケア」は、介護保険の対象外となる自費の訪問介護ヘルパーを、オンラインで探して1時間から依頼できるサービスです。
私が公式サイトを確認した時点(2026年9月)では、スポットで頼む場合は1時間3,300円(税込)からで、通院の付き添い・見守り・家事の手伝い・買い物代行などを依頼できます。
24時間365日の受付で、クレジットカード払いなら利用希望の1時間前まで申し込めます(直前の依頼は割増料金あり。いずれも2026年9月時点の公式サイトの記載)。
運営は株式会社クラウドケア。
会員登録は無料なので、退院前に登録だけ済ませておけば、「明日行けない」となった日に頼めます。
ただし対応地域は、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫の7都府県です。
それ以外の地域の方は、地域包括支援センターで「介護保険外の家事・生活支援サービス」があるか聞いてみてください。
自治体や社会福祉協議会が、自費で頼める生活支援を案内してくれることがあります。

ジャズ
ジャズ

父が歩けなくなったら、私ひとりじゃ絶対に回らないよ。
仕事もあるし、実家まで行くだけで半日つぶれる。

ロック
ロック

僕もそう思ったよ。
義父のときは、ケアマネさんに相談しながら一つずつ決めていった。
家族だけで全部抱えない、って先に決めておくのが大事だと思う。

退院直後、家族が行けない日の「人手」を先に確保しておきたい方へ

クラウドケアは、介護保険では対応できない介護・家事・生活支援を、1時間単位で自費で頼めるヘルパーのマッチングサービスです。通院付き添い、日中や夜間の見守り、家事の手伝いなどを依頼できます。会員登録は無料で、登録しておけば必要になった日に会員ページから申し込めます。

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転倒を繰り返さないために、退院後にやっておくこと

夜の住宅の廊下に取り付けた木製の手すりと、足元を照らすセンサーライト
夜間のトイレの動線に、明かりと手すりを。二度目の転倒を防ぐ基本です。

一度転んだ親は、二度目も転びやすい。
これは、義父を見ていて痛感したことです。
骨折して入院し、筋力が落ちて退院する——そのまま何もしなければ、次の転倒の条件がそろってしまいます。

退院後にやっておくことを、私の経験から3つに絞ります。
ひとつ、家の中の段差と足元の障害物を減らす(玄関・廊下・寝室)。
ふたつ、足腰の筋力を戻す運動を、無理のない範囲で続ける。
みっつ、夜間のトイレの動線に、明かりと手すりを置く。

転倒の原因と、家の中の対策、筋力を保つ運動については、高齢の親の転倒予防の全対策にまとめています。
「転んだ後」にこの記事を読んでいる方こそ、あちらの「転ぶ前」の対策が次の一回を防ぎます。
私の親たちの介護の全体像は、親の介護ブログに記録しています。

高齢者の転倒と救急車でよくある質問

Q. 転んだ親を、自分で起こしてもいいですか?

強い痛みがある、はれや変形がある、動かすとさらに痛がる、頭を打って様子がおかしい——この状態なら無理に起こさず、119番か♯7119に相談してください。
東京都保健医療局の資料でも、こうした症状は骨折の可能性があるとして、救急車を呼ぶ流れが示されています。
痛みがなく、頭も打っておらず、本人が自分で動けるなら、横向き→四つ這い→椅子につかまって立つ、の順で本人のペースで起き上がってもらいます(本文「起こしてよい時と、起こし方」)。
腕を引っぱって起こさないこと。
その日のうちに一度、医療機関に相談すると安心です。

Q. 救急車を呼んだのに軽症だったら、迷惑になりませんか?

消防庁の資料は「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、転倒で強い衝撃を受けた場合や、様子がおかしい場合を挙げています。
高齢者は自覚症状が出にくいと明記されています。
結果として軽症だったとしても、それは呼んだあとに分かることです。
迷う段階でこそ、♯7119という相談窓口があります。

Q. 親が骨折して介護が必要になりそうです。最初に何をすればいいですか?

入院中に、親の住む市区町村の地域包括支援センターに連絡して、介護保険の申請をしてください。
認定の効力は申請日にさかのぼるので、早いほど損がありません。
手続きの流れと認定調査の注意点は、介護認定調査の記事に書いています。

Q. 親が歩けなくなったのに、介護保険で車椅子が借りられないと言われました

要支援1・2と要介護1の方は、車椅子などの貸与が原則対象外です。
身体の状態によっては例外的に対象になる場合があるので、まずケアマネさんに「例外給付」に該当しないか相談してください。
該当しない場合は、自費レンタルか購入になります。
本文②で書いたとおり、折りたたみの車椅子は1万円台からあります(2026年9月確認)。
体格に合うものを、ケアマネさんか福祉用具専門相談員に相談して選んでください。

まとめ:高齢者が転倒して起き上がれない時は、救急車と♯7119を迷わない

夕方の縁側に並んで座り、庭を眺める高齢の父と50代の息子の後ろ姿
転んだ後の暮らしは、家族だけで抱えないと決めるところから始まります。
この記事のまとめ
・転倒で強い衝撃/意識がおかしい/痛がって動けない——迷わず119番。無理に起こさない
・「呼ぶほどか分からない」は ♯7119 へ。親の地域で使えるか、いま確認しておく
・骨折で入院したら、退院を待たずに介護保険を申請する
・退院前に、玄関の手すり・段差を見直す
・歩けなくなったら、リハビリ・福祉用具・人手の3つを同時に考える
・介護保険で借りられない車椅子は、自費レンタルか購入。人手は、自費ヘルパーで隙間を埋める

義父が玄関で転んだ日から、私たち家族がやったことを順番に書きました。
救急車、入院、申請、踏み台、ケアマネさんとの相談。
どれも、転ぶ前には知らなかったことばかりです。

ジャズ
ジャズ

読んでたら、うちも先に決めておくことが多いなって思った。
まず、母の地域で♯7119が使えるか調べてみる。

ロック
ロック

それがいいよ。
僕は義父のことがあるまで、♯7119の存在すら知らなかった。
知っているだけで、次に何かあったときの動きが変わると思う。

今日できることを、ひとつだけ挙げるなら。
親の住む地域で♯7119が使えるかを確認して、番号を親の電話のそばに置いてください。
そして退院後の暮らしで、家族だけでは埋められない日が見えているなら、頼める先を先に登録しておく。
それが、転んだ後の家族にできる、いちばん現実的な備えです。

「家族だけでは回らない日」に備えて、先に登録しておく

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※対応地域は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫です。それ以外の地域の方は、お住まいの地域包括支援センターに「介護保険外の家事・生活支援サービス」があるか聞いてみてください。自治体や社会福祉協議会が、自費で頼める生活支援を案内してくれることがあります。

※この記事は、ひとつの家族の経験と公的資料をもとに書いています。医療の判断は、必ず医療機関・救急相談窓口の指示に従ってください。介護保険の申請・認定・福祉用具貸与の条件は、お住まいの自治体の窓口・地域包括支援センター・ケアマネジャーにご確認ください。

参考にした公的資料
消防庁「救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なのはどんなとき?〜」(令和7年12月発行・PDF)
消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」
東京都保健医療局「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ シーン1 祖母が転んで、動けない!」
東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(令和6年中)
厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況・PDF 表16「現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」)
厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
厚生労働省「要介護認定」
吹田市「119番はどこに繋がるのですか」(携帯電話は基地局を管轄する指令センターにつながる・転送可)
独立行政法人福祉医療機構 WAM NET「介護技術 第3回:起き上がり動作」
関東労災病院 脳神経外科・神経内科「頭部外傷(スポーツ外傷、慢性硬膜下血腫)について」
国立病院機構 大阪医療センター 診療ナビ「頭部外傷」
ロックのプロフィール画像

この記事を書いた人:ロック

 高齢の親を含め、身近に高齢者が多い環境で生活しています。
 若い頃は東証プライム上場企業で経理職に従事し、生命保険の資格[上級生命保険設計士(現シニア・ライフ・コンサルタント)]も取得しました。
 その後、数十年にわたり雑貨の卸売業に携わり、品質・安全性・使いやすさの視点で商品を見てきました。
別事業として古物営業法に基づく古物商許可(公安委員会の許可)も保有し、中古品の売買・流通にも従事しています。
 2005年からは個人で株式投資を続けており、リーマンショックも何とか乗り切りました。いまは国内の高配当株と投資信託が中心で、新NISAも活用しています。
 家族の実体験と公的・医療情報を参考にしながら、高齢者の暮らしに役立つ情報を発信しています。
 ※医療行為の代替を目的とした情報ではありません。

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